概要
特区とは、ある地域に限定して、規制の緩和や特例措置などを図り、その地域の経済発展につなげようとする施策です。
小泉政権時に初めて構造改革特区制度が導入され、その後、総合特区・国家戦略特区などの制度が設けられています。
相違点
上記のように、特区制度といっても、構造改革特区・総合特区・国家戦略特区の3つの特区制度が存在しています。
それぞれの相違点・違いは、次のとおりです。
構造改革特区 | 総合特区 | 国家戦略特区 | |
---|---|---|---|
根拠法 | 構造改革特別区域法 | 総合特別区域法 | 国家戦略特別区域法 |
成立 | 平成14年12月 | 平成23年6月 | 平成25年12月 |
目的 | 地方公共団体の自発性を最大限に尊重した構造改革特別区域を設定し、当該地域の特性に応じた規制の特例措置の適用を受けて地方公共団体が特定の事業を実施し又はその実施を促進することにより、教育、物流、研究開発、農業、社会福祉その他の分野における経済社会の構造改革を推進するとともに地域の活性化を図り、もって国民生活の向上及び国民経済の発展に寄与すること | 産業構造及び国際的な競争条件の変化、急速な少子高齢化の進展等の経済社会情勢の変化に対応して、産業の国際競争力の強化及び地域の活性化に関する施策を総合的かつ集中的に推進することにより、我が国の経済社会の活力の向上及び持続的発展を図るため、その基本理念、政府による総合特別区域基本方針の策定及び総合特別区域の指定、地方公共団体による国際戦略総合特別区域計画及び地域活性化総合特別区域計画の作成並びにその内閣総理大臣による認定、当該認定を受けたこれらの計画に基づく事業に対する特別の措置、総合特別区域推進本部の設置等について定め、もって国民経済の発展及び国民生活の向上に寄与すること | 我が国を取り巻く国際経済環境の変化その他の経済社会情勢の変化に対応して、我が国の経済社会の活力の向上及び持続的発展を図るためには、国が定めた国家戦略特別区域において、経済社会の構造改革を重点的に推進することにより、産業の国際競争力を強化するとともに、国際的な経済活動の拠点を形成することが重要であることに鑑み、国家戦略特別区域に関し、規制改革その他の施策を総合的かつ集中的に推進するために必要な事項を定め、もって国民経済の発展及び国民生活の向上に寄与すること |
対象区域 | 地方自治体 | 地域(単独・複数の地方自治体) | 地域(単独・複数の自治体) |
特例措置 | 個別の規制緩和 | 複数の規制緩和や税制・財政・金融上の支援措置 | 複数の規制緩和や税制・金融上の支援措置 |
申請 | 地方自治体 | 地方自治体 | (提案を受け、国が指定) |
備考 | 国際戦略総合特別区域と地域活性化総合特別区域の2つの特区のパターンがある | 比較的広域的な指定と革新的事業連携型指定の2つのパターンがある |
すなわち、構造改革特区と総合特区では、対象区域が前者では個々の自治体に留まるのに対し、後者では複数の自治体の申請が可能となっています。また、構造改革特区は個別の規制緩和のみを対象としているのに対し、総合特区では複数の規制緩和と範囲が広がり、税制・財政・金融などの支援措置も受けられるというものになっています。
また、総合特区と国家戦略特区では、対象区域や特例措置は類似していますが、大きく異なるのが、前者はあくまでも地方の申請によるものであるのに対して、後者は国が主体的に特区を決定するという制度となっています。
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