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じわりと廃れゆく地域資源

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地域資源としてのご当地グルメ

 地域資源とは、その地域独自の食や工芸品などを指す言葉である。
 そして、ご当地グルメやその地域の食文化というのは、地域資源の代表例である。

 多くの地域で、ご当地グルメなどをキーにして、地域活性化などを図ろうとしている。


廃れゆく地域資源

 しかしその足元を見れば、地域資源としての食文化は、廃れていっている。
 ご当地グルメ・ソウルフード・郷土料理などの言葉が溢れる反面、実際はじわりと衰退していっているように感じている。

 それはなぜか?


①結婚生活の変化
 かつて結婚すれば、親との同居が一般であったが、現在は必ずしもそうではない。
 そうすると、家庭の味が受け継がれなくなり、その地域独自の食文化も継承されなくなっている。


②中食の増加
 働く女性も増える中、スーパーでは惣菜など中食が盛況であるが、その中食は必ずしもその地域独自のものではない。
 地域のスーパーに行って、総菜コーナーを見ることもあるが、多くはどこでも売っているようなものがほとんどである。
 また、冷凍食品などもよく食されるが、その地域独自の冷凍食品というのは、乏しい(あっても、せいぜい観光施設で観光客向けに販売されているものである)。
 こうなると、その地域の食文化は維持されない。


③大手スーパーの台頭
 大手スーパーが台頭し、地域スーパーの衰退していっている。地域のスーパーは、地域の食品製造業者から仕入れを行っていることも多い。しかし、大手スーパーだと必ずしもそうではない。
 地域性の高い商品として、醤油味噌などの調味料、豆腐・納豆などが挙げられる。これらの商品は、地域ごとに地元の食品メーカーがいて、スーパーで販売している。しかし、大手スーパーが台頭し、安いPB商品などを販売することで、地元の食品メーカーが苦戦を強いられると共に、その地域独自の味が失われている。

 このように、地域の食に注目が集まっている反面、その危機はじわりじわりと起っている。


崩壊しては遅い

 これに対して、地方自治体などでは、給食に地元のものを提供するという「食育」が行われている。ただ、「地産地消」という概念と一緒になっていることもあり、単に地元の農産品を使ったという形が多いように思う。

 地域資源という概念で考えた場合、重要なのは食文化である。そしてこれは、給食などの食育だけでは足らない。
 地域を挙げて、食文化を守ろうとしなければ、重要な地域資源は崩壊してしまうだろうし、崩壊しては遅いのである。

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