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新たな経済対策から見るアベノミクスの問題点


新たな経済対策の発表

 消費税増税の延期、解散、景気の悪化を受け、安倍首相は新たな経済対策を発表するようだ。
 実際には来月に決定がなされるようだが、報道によると、次のものが主なメニューとして挙がっている(2014年11月18日 産経新聞「衆院選は景気てこ入れ争点に 首相、きょうにも経済対策指示」より)。


  • 低所得者向けの給付金や商品券の配
  • 長期固定型の住宅ローン「フラット35」の金利優遇幅拡大
  • 寒冷地の灯油、漁業などの燃料費に対する補助
  • 工場の省エネ設備導入に対する補助
  • 中小企業の資金繰り支援
  • 大規模災害や土砂災害からの復旧
  • 東日本大震災からの復旧事情
  • 道路や橋など老朽化対策支援


 これらについて、良い言い方をすればオーソドックス、悪い言い方をすれば目新しさがない対策といえると思う。
 また、単なるバラマキで、消費税を挙げておいて、景気が悪くなったから、財政支出を拡大するというのは馬鹿げた話ともいえる。

 しかし、このような批判は置いておいて、この経済対策にアベノミクスの本質的な問題があるように思う。


問題点

 私は決してバラマキは悪いことだとは思っていないし、財政政策は経済政策として必要な場合もある。
 しかし、この経済対策から現れているように、アベノミクスには本質的な問題がある。

 1つは、減税ではなく、補助といった給付型の手段を用いていることだ。
 燃料費の補助や設備導入への補助といったものは、補助という形ではなく、減税でも実施することができる。

 勿論、減税では税金を払っていないような場合には恩恵を受けることができない。
 ただ、手続き上は、減税のほうが簡便であり、やりやすいにもかかわらず、あえて補助という形をとっているのは、補助のほうがありがたみを受けやすいという選挙対策ではないかと勘繰ってしまう。

 2つは、土木・建設業頼みということである。
 別にこれらに対して、財政政策を運用することは決して悪いことではない。しかし、アベノミクスのおかげで、ただでさえ、建設業の需給が逼迫している中、更にこれらに対し、財政措置を行えば、一層、土木・建設業において、建設費の高騰などといった問題が生じる。

 3つは、産業政策という観点が全くないということである。
 財政政策について、その使い方で経済は大きく変わり、特に日本の経済不況を脱するには、産業政策的な観点が必要だ。しかし、このような視点がほとんどないと言わざるを得ない。

 例えば、工場の省エネ設備導入への補助がメニューとして挙がっているが、産業政策的に考えれば、「省エネ」ではなく、老朽化設備から最新の「設備更新」のほうが重要だ。なぜなら、製造業・工場にとって、重要なのは、その設備のレベルであるからだ。よく製造業というと、熟練工の存在などが言われ、全くの間違いではないが、本質的な競争力としては、その企業が有する設備にある。

 老朽化設備から新たな設備更新をした方が産業政策としては相応しく、国産の最新設備の導入を推進することで、製造業の競争力が上がり、国内の設備メーカーも潤うことができる。


つまり…

 アベノミクスにとって重要なのは、需要不足などを埋めるために「使う」ということに主眼が置かれている。しかし、お金の使い方で、問題が生じたり、折角の経済対策で未来への投資につながっていない。

 アベノミクスとしては、3本の矢があり、3本目の規制対策が進んでいないということが言われたりもする。ただ財政支出を拡大させるなれば、必ずしも3本の矢は必要とせず、1本目の金融政策、2本目の財政政策だけで、日本の産業の再生は可能だ。

 しかし、2本目の財政政策において、単に「お金を使う」ということに主眼が置かれ、折角の機会を無にしてしまったことに、本質的な問題の一部がある。

 そして、今回の経済対策を見る限り、この問題を引きずりながら、財政支出が行われることが残念でならず、困ったものだ。







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