中央省庁の移転という話が出ていますが、この問題について、書きました。
中央省庁の地方移転
現在、中央省庁の一部を地方に移転するかどうかの検討が行われています。
2016年1月22日 産経新聞「中央省庁の地方移転“笛吹けど踊らず” 京都有望、徳島は?」
省庁や関係団体などの反対もあり、今後、どうなるか分かりませんが、地方にとってはありがたい話です。
なぜなら、それに伴い、物理的な職場が必要になるため、多寡はあるでしょうが、何らかの投資が必要になるだろうし、何よりも職員の移動に伴う、人口移動が生じるからです。
しかしそもそも、ある種、どうしようもない試みとも思えます。
無駄が生じるだけである
反対意見にあるように、省庁が移転するとなると、関係団体の意見は別として、国会対策や他省庁とのやり取りなどに齟齬が生じます。例えば、質問取り、大臣等へのレク、予算折衝など、面と向かってやる(もしくはやったほうがいい)仕事は、必ずやりにくくなります。
そのようなことは、省庁の職員だけではなく、国会議員の先生も分かっているはずです。だからこそ、そのような弊害が少なくなるように、現時点では、「省」ではなく、外局の「庁」が中心に、案として挙がっているのでしょう。
ただ、庁を移転するにしても、上記のようなやり取りがなくなるわけではないので、東京にある程度の機能は残さざるを得ません。
また、立法・行政だけの問題ではなく、マスコミの問題もあります。行政とマスコミの関係は難しい面もありますが、行政としては、発信したい情報も多いです。そうなると、大手メディアがある東京に、そのような機能も必要になるでしょう。
また、災害等のリスク分散などという観点も考えても、現状の案では、意味がありません。例えば、災害対応などを考えれば、文化庁が京都に行っても、文化庁は大丈夫だろうが、同時に何もできません。
結果、無意味な面が多く、余分に人員・旅費などが必要となり、行政コストは上がるだけです。
私としては、地方が元気になるのはいいと思っていますが、このようなどうしようもないことは、止めたほうがいいと思います。
単なる参院選向け?
どうも、単なる参院選向けのパフォーマンスに過ぎないような印象を受けています。いくつは実現するだろうが、本気度を感じないからです。
本当に地方分散を目的としたものならば、むしろ省庁ではなく、国の外郭団体などを移転すべきです。
少なくとも、議会対策は必要もなく、省庁移転よりもやりやすいはずです。
例えば、中小企業庁の移転が案に挙がっているが、外郭団体で独立行政法人の中小企業基盤整備機構を移転すればいいと思います。
また、国立の文化施設が集中しているのも東京です。利用者の問題もありますが、可能な施設もあるに違いありません。
もっと言えば、国立の大学が最も多いのが、東京です。ただでさえ、東京は民間参入があり、私立の大学が多くあるので、東京に国立大学を置いておく必要はありません。国公立・私立を合わせても数校しかない県があるにもかかわらず、10校程度の国立大学が東京に立地しているのは、おかしな話です。現実論としては難しい面もあるでしょうが、学部単位での移転や、大学院の移転などは可能でしょう。
本当にやる気があるのならば、この部分をもっと検討すべきだと思います。
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