概要
地方自治体の組織名は、従来、比較的硬いものが多い。
通常の会社でもあるような総務課や人事課などはもとより、財政課・障害福祉課など行政特有のものもある。また、一般の人からすると、中には名前を聞いても何をやっているようなものも多い。例えば、行政経営課というものは、一見、何をやっているか分からないが、行政組織や事業評価などを行っている部署である。
ただ最近、時代の変化を受けて、分かりやすい課名であったり、行政施策上、新しい組織を作るにあたり、珍しい部局名・課名も増えているようだ。
古くからあるのは、松戸市の「すぐやる課」などであるだろうし、最近では高知県の「おもてなし課」なども話題になったが、このような動きが加速しているように思う。
パターン
そして大きなパターンとしては、3つくらいに分けられるだろうか。
①優しい名称
従来、硬い名前だったものを優しい名称に改めたり、新しい組織を新設するにあたり、分かりやすく(?)、優しい名称を付けることが多い。
例えば、
山口県防府市 : 観光振興課 ⇒ おもてなし観光課
山口県下関市 : (新設) ⇒ こども未来部
佐賀県武雄市 : (新設) ⇒ お住もう課
印象としては、児童福祉分野であったり、一般の住民・観光客を相手にするような部署で、このような名称がつけられているようである。
なお、武雄市は上記の「お住もう課」以外にも、「つながる部」「フェイスブック・シティ課」「お結び課」「わたしたちの新幹線課」「いのしし課」「スマイル学習課」など、組織としても珍しい課であり、名称としても面白いものが多い。
②観光対策
どこでも地域ブランドの向上や観光対策を行っているが、近年増えているのが、このような分野で、新たな組織が作られ、珍しい部局名・課名が登場している。
特に、観光分野なので、その地域の特色が出やすく、今後も観光分野において、珍しい課名が出てくると思われる。
例えば、
和歌山県田辺市 : たなべ営業室
島根県松江市 : 歴史まちづくり部
長野県 : 山岳高原観光課
また、正式な組織ではないが、愛媛県西予市では地域ブランド向上のため、「せいよ部」というものを立ち上げたりしている。
③スポーツ対策
これまで、行政機関において、スポーツは大きなテーマではなかった。しかし、住民の趣味・健康、観光対策などの観点から、スポーツ対策を行うような組織を作っているところが増えている。
埼玉県などはそうだが、東京オリンピックを視野に入れて、組織強化を行っているようなところもあり、このような組織も今後、多く作られるだろう。
とはいえ…
以上で見たように、地方自治体では新しい組織を作ったりする際や、印象を変えるため、珍しい部局名・課名が増えているように思える。
私は、基本的にはこのような動きは賛成だ。
例えば、奈良市では「ブランド推進課」という組織が今年度新設されたが、(実態は別として)名前だけから判断すると、ブランド力向上を図れそうにない。
しかし時々、懲りすぎて何をやっているのか分からなくなってしまうことも多い。
例えば、高知県の「おもてなし課」にしたって、名前は有名だが、何をやっているのか分かりにくい。特に、高知県の組織を見ると、「観光政策課」「地域観光課」などといった組織がある中で、何が違うのか分からないだろう。
むしろ、昔ながらの名称でシンプルなもののほうがい良いときもある。
このように、珍しい部局名・課名は増えているが、何よりも外部の目から見て、分かりやすく親しみやすいものにしてほしいと思う。
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