日本は労働生産性が低いと言われますが、本当にそうでしょうか。
日本は、労働生産性が低い!
よく日本は労働生産性が低いと言われます。
細かく数値を追うつもりはありませんが、どうも日本は、先進国の中で最低のようです。
2015年12月18日 産経新聞「労働生産性、先進7カ国で最低 茂木友三郎生産性本部会長「勤勉な日本が…残念な結果」」
数値的には正しいのでしょう。
しかし、労働生産性の概念が間違っているのです。
労働生産性とは?
労働生産性というと、どうしても働いた中で、どれだけ多くのもの作ったかという印象を持ちます。また、いかに効率的に財・サービスを提供したかという印象を持ちます。
労働生産性について、いろいろな定義がありますが、定義としては、次のような形になります。
そして、ここで曲者は付加価値というもので、これもいろいろ定義されるが、ざっくり言えば、次のような形になります。
つまり、労働生産性とは、人件費という概念も含まれていますが、同時に、いかに儲けたかという概念が入っているのです。そしてここには、どれだけ多く物を作ったとか、効率的かどうかという概念は含まれていません。
例えば、上記の式から分かるように、いかに素早く物を作ったとしても、利益が0であれば、労働生産性は0となります。違う言い方をすれば、コンビニ店員などは、どこに行っても大きく違う仕事はしていないでしょう。しかし、時給は都会の方が高いので、労働生産性は都会のコンビニ店員のほうが高くなります。
本来的には、この言葉の通り、生産性に関する数値をとるべきでしょうが、物の生産量でいえば、物が異なればそれぞれで生産単位が異なり比較ができず、効率的かどうかは、そもそも数値がないことも多く、致し方ない面もあります。
しかし、労働生産性という言葉に惑わされてはいけません。
本当の問題は儲けていないこと
そうしたときに、日本の生産性の低さと、上記の式を考えると、日本の問題は、人件費が高く、利益が小さいという話になります。
人件費については、ただでさえ、格差などの問題もあり、どうしようもありません。また、これ以上、人件費が下がると、生活できないという話も出てくるでしょう。そこで、人件費の問題について、外に置くと、利益の低さが問題となります。
日本は労働生産性が低く、非効率に働いていると思われているかもしれませんが、それは効率性の問題ではなく、単純に儲かっていないということなのです。
特に、日本はサービス業の労働生産性が低いと言われますが、人口が少なくなる中、国内市場で過当競争を行っているので、当然、利益は小さくなり、労働生産性は低くなります。例えば、スーパーなどをイメージすれば、分かりやすいかもしれません。
つまり、需要が小さくなる中でも国内市場をメインに商売を行っているから、労働生産性が低くなるのです。
為替の影響もあるだろうし、大企業を保護したほうがいいというつもりはありませんが、労働生産性の問題は、現在の日本の過当競争的な市場という点にあるのです。
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