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国から地方へのお金の流れ方

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 国から地方へは、様々なお金が流れていますが、この流れ方について、整理したいと思います。

概要

 国から地方へは様々なお金が流れています。
 一般的には地方交付税などの形で、国から自治体へお金が流れる場合が多いですが、地方全体で見ると、様々な形でお金が流れています。
 そこでここでは、お金の流れ方について整理したいと思います。

パターン

 国から地方へのお金の流れ方については、次のようなパターンがあります。

①自治体

 最も一般的なのが、国から地方自治体へお金が行っている場合です。
 地方交付税はもとより、交付金や補助金などの形で国は地方に支出しています。

外郭団体

 実は、自治体の予算には嘘があります。

 例えば、自治体の予算を見ると、商工費というものがありますが、これは中小企業・産業対策などにいくら使ったかを示しているものです。ただこの予算だけで、中小企業・産業対策を行っているわけではありません。
 自治体の外郭団体が中小企業・産業対策を行っており、国からこの外郭団体にお金が流れているからです。そしてこのお金は、自治体の予算などには計上されません。だから単純に、自治体の商工費を見ても、その実態は捉えにくい面があります。

 このように、国から自治体の外郭団体に直接、お金が流れている場合が多くあります。逆に、国からの補助などを受けるために、外郭団体が作られるということも行われています。

③企業・住民など

 これは直接、国から地方の企業・住民などにお金が流れるというものです。

 例えば、雇用保険などはいい例でしょう。またいったん、自治体や外郭団体が資金を受け取り、地方の企業・住民などにお金が流れるという形もとられます。

 ここでのポイントは、国から地方の企業・住民などに直接、お金が流れるからといって、自治体は必ずしも無関係ではないということです。さすがに個々の住民に対しては難しいですが、企業や地域の団体、大学等の研究機関などについては、自治体がサポートを行うことがあります。

 財政的に厳しい自治体が多い中で、自治体には直接いかないが、このような企業等に国からお金が流れる仕組みを利用し、自治体の施策の実現が図られます。
 例えば、地域づくりなどを行いたいが、自治体にはそのお金がなく、国から自治体への補助がないといった場合、国から商工会への補助の仕組みなどがあれば、商工会が補助を受けられるように、申請書作成などのサポートを行うというものです。

④直轄事業

 国が直接、地方にインフラを整備したり、事業を行ったりするものです。
 これについては、大きく分けて2つの形があります。

 1つは、高速道路の建設などに見られるように、インフラや施設を国が直接的に整備するというものです。

 もう1つは、国の機関の立地などという形で直轄事業が行われます。さすがに国の地方局設置などはありませんが、国の独立行政法人の出先機関から刑務所の立地まで、様々な形で直轄事業が行われています。
 これは、地方にとっては土木事業が来る上、人口も増えるという効果もあります。

問題点

 そもそも国から地方にお金が流れるというものは、地方自治の観点から考えると問題です。
 しかし同時に、次のような問題もあります。

 1つ目は、国からの補助などを受けるため、外郭団体を設立したり、企業・団体などのサポートを行ったりと、自治体の施策についてバイアス(歪み)を生じさせます。
 自治体が必要ならば外郭団体を設立すればよいし、企業・団体などのサポートを行うならば、自主財源で行えばいいと思います。しかし地方分権の流れの中、財源移譲が行われず、国から地方に補助などの形でお金が流れるため、このような変なことが起きてしまいます。

 2つ目は、直轄事業などについて、かつて国会議員の地元への利権誘導という話がありました。国会議員などが、地元の道路や橋などを建設するために、省庁に働きかけるというものです。

 これは本来の国会議員の仕事ではないし、国会議員と地元建設業者との癒着などの問題も言われてきました。さすがに現在では減ってきましたが、直轄事業という仕組み自体に原因があるため、今後もこのような動きはなくならないと思います。

 現在でも、地方では大きなインフラについては決起集会などを開き、地元選出国会議員への陳情、省庁などへの働きかけが行われているのが現実です。

 3つ目は、直轄事業が行われることで、所得の再配分機能が失われるということです。

 国の重要な機能として、首都圏など一部の地域に富が偏在しないように、田舎に重点的にお金を支出することで、格差を是正するというものがあります。そしてそれを実現するため、国では地方交付税は勿論、様々な補助金などで、地域間格差是正を行ってきました。

 しかし同時に、直轄事業でこの再配分機能が弱められてきたのも事実です。
 簡単に言えば、国立大学・国立美術館などの形で、首都圏や関西圏に重点的に直轄事業が行われています。高速道路・鉄道なども同様。上記の国会議員の地元への利権誘導のような話もありますが、この直轄事業を通じて、最も利益を得ているのは首都圏や関西圏などの大都です。

 「国により、地域間格差は是正されているか?」で、国から自治体にどれだけお金が流れているかを見ましたが、金額ベースでは、明らかに人口の多い地域にお金がより多く流れています。
 実際の効果を測定することは困難を極めますが、更にこの直轄事業についても効果に入れると、実は国の再配分機能はあまり機能していないのではないかを思っています。

 やはり、このような仕組みについては、何らかのメスを入れる必要があると思います。

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