補助金といった場合、どこも同じように思えるかもしれないが、国と地方自治体では大きな違いがある。勿論、制度・内容に違いがあるのは当然として、国の補助金の場合には、会計検査院というチェック機関があるというのが大きな違いである。
会計検査院は、憲法第90条に規定を置き、政府から独立した機関である。その役割は、国のお金が適切に支出されているか、不正に利用されていないかをチェックするというものである。なお、事業効果については近年問われつつあるが、あくまでも会計検査院のメインの役割は不正などのチェックである。そのため、例えば、車の通らない道路建設などについて、会計検査院が問題視することは少ない。むしろ、お金がしっかり道路建設に使われたか、不正な使い方はしていないかなどをチェックする。
そして国から委託費・補助金などの形でお金をもらった場合、その事業については検査対象となる。検査対象の中から、その一部について、実地検査が行われる。
実地検査について具体的には、ある企業が国から補助金をもらったとしよう。その場合、補助要綱に従った使い方をしているか、対象経費経費であるかなどをチェックする。更に、見積書・契約・領収書などをチェックして、補助対象期間内に契約などを行い支払いを行っているか、変なものに使われていないかなどをチェックする。また、変な操作などをしていないかなどをチェックするため、総勘定元帳など関連帳簿も調べられる。物を買った場合などは、現物の確認なども行われる。
マルサとまではいかないが、税務調査のような検査が行われている。そして、不正は勿論、誤った支出などがあれば、返還が命じられる。
正直、ここまでする必要はあるのかと思ったりもするが、ある種、必要だともいえよう。
問題は、国の補助金は小さな企業向きではないということだ。自治体や大企業ならば、経理の担当もおり、それなりに書類の整備なども可能である。しかし、小さな企業は、そのような専任の人を置けていない場合も多い。また、補助金について知らないことも多いため、間違った使い方をすることもある。特に、国の補助金は一般的に細かい規定が多いため、たいへんである。
補助金をもらったはいいが、その事務処理が非常に大変だ。また、実際に会計検査院が実地検査に入ったとなると、更にその対応(対応といっても変なことをするわけではなく、検査のスムース化のために準備が必要)のため、様々な労力がとられる。変な指摘があると、その説明のため、時間を弄することになる。
結局、しっかりとした会計事務を行える企業でなければ、国の補助金を受けることはできない。中小企業支援といってはいるが、国の施策は小さな企業向けではないのである。
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