地域の経済格差は放置されてきた…
最近、よく地方創生という言葉を聞く。
しかし以前、「期待できない地方創生。なぜうまくいかないと思うのか?」でも書いたが、あまり期待していない。
そもそも戦後の政府の政策は、根本的に格差を是正しようという考えが弱かったのだろうと思うし、現在でもその考えは変わっていないように思う。
下のグラフは、県民経済計算の都道府県データ(名目値)を用いて、政府投資(公的総固定資本形成+公的企業在庫品増減)と県内総生産の相関係数の推移である。相関係数とは、2つのデータがあったとき、1に近いほど関係しており、0に近いほど無関係であるという指数である。
政府支出と県内GDPの相関係数
実数と都道府県の順位で計算したものの2つをグラフ化しているが、1955年度以降、いずれも0.8以上の値となっており、非常に高い相関を示している。すなわち、GDPが高い都道府県ほど、高い政府投資がなされ、GDPが低い都道府県ほど、あまり政府投資が行われてこなかったということだ。
地域格差是正は不可能ではない
ただ、これは地域格差の是正が不可能であることを意味はしていない。
むしろ、しっかりと政府投資が行われれば、その地域は成長するし、そうでなければ、地域格差は維持・拡大されることになる。
下のグラフは、政府投資に関する鳥取県と沖縄県の47都道府県中の順位である。
1955年度当時、鳥取県は46位、沖縄県は47位であった。
しかし、沖縄県は返還後、沖縄振興開発特別措置法が制定されるなどして、政府投資が他の地域よりも多くなされ、47都道府県中、20~30位の順位で、政府投資が行われてきた。
他方、鳥取県は特別な措置はあまりなされず、46位・47位という水準をたどっていく。
そしてその結果が、下の鳥取県と沖縄県の県内総生産(GDP)の47都道府県中の順位である。
46位と47位の鳥取県と沖縄県であったが、鳥取県は47位に転落するのに比べ、沖縄県はおおよそ順位を上げ、2011年度には47都道府県中34位となっている。
鳥取県と沖縄県の県内GDPの順位
つまり、本当に地域の経済格差を是正しようとすれば、それも可能だったということだ。
やはりやる気の問題!
もちろん、沖縄県以外の地域で格差をなくそうとしていないわけではない。
歴史的には、列島改造論のような話があったり、ふるさと創生というバラマキも行われた。また以前「国により、地域間格差は是正されているか?」で書いたが、地方交付税などにより、地域間格差の是正も行われている。
しかしそれが、お茶を濁す程度のもので、本当に地域格差・首都圏一極集中を是正しようとしなかったため、現在のような地域の経済格差が生まれたのだと思う。
しっかりとやる気を示し、財政措置・制度を整えれば、格差の是正は可能だと思う。
ただ、現在の政府はそのような姿勢が感じられず、地方は消滅していくしかないのだろうと思わざるを得ない。
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