地方分権が2重・3重行政を増やす?

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 地方分権と多重行政とは、一見すると無関係なように見えます。また、地方分権を行えば、、国の役割が小さくなるので、多重行政がなくなるのではという気もします。

 しかし、必ずしもそうではないという気がしています。

そもそも2重・3重行政って何?

 本稿に興味を持たれた方ならば、今更言うことではないかもしれません。

 2重・3重行政とは、国と地方自治体で同じような施策を行っていることです。
 例えば、体育館を考えた場合、県立の体育館がある傍ら、立の体育館があり、同じの中に2つの公立の体育館があるような状態です(下のような感じです)。

2重行政

 県と市町村の関係では、県庁所在地の市によく生まれる現象で、同じような施設があったり、同じような事業・施策をやっていることがあります。更には、国も行政運営を行っているので、国・都道府県・市町村で、最大で3重行政が行われることがあります。
 
 このとき、ふと思う疑問。

  「国・都道府県・市町村で、なぜ同じようなことを行うの?」
  「無駄じゃないの?」

 まさしくその通りで、国・都道府県・市町村で、同じような事業を実施することで無駄が発生し、非効率な財政運営となってしまいます。

地方分権による多重行政の発生

 地方分権とは、国から都道府県や市町村などの地方自治体に権限・財源が移譲されることを意味しています。
 このとき、地方自治体には、次のような状況が生じます。

①自由度が上昇
 地方分権によって、権限・財源が移譲されるため、地方自治体は施策に対して、より自由になり、これまで以上にいろいろな施策・事業ができるようになります。

 国・都道府県・市町村の調整も行いにくくなるため、それぞれで自由にあらゆる事業を進めていくことになり、結果、多重行政が増える可能性が高いということです。

 特に、国は地方分権で権限・財源が少なくなるので3重行政は解消されるかもしれませんが、都道府県と市町村の間で多重行政が増える可能性が出てきます。都道府県としては、行政サービスの向上と称して、これまでは都道府県に1つしかなかった施設を、地域ごとにいくつも作ったり、逆に市町村は財源的な制約から諦めていた施設を作り、それが都道府県のものと競合する可能性があります。

②責任の発生
 自由度が上がると、反面、政治課題に対して、国・都道府県・市町村がすべて責任を負うことを意味します。
 これまでは、国の仕事、都道府県の仕事、市町村の仕事と言い訳ができましたが、地方分権が行われると、これらのことを自らやらなければならなくなります。

 その結果、その政治課題について、国・都道府県・市町村すべてで、対策が行われることになります。勿論、財政規模が異なるため、同じような対応できるわけではありませんが、2重・3重行政が発生することになります。

 例えば、数年前に環境問題やエネルギー問題で太陽光発電が推進されていました。これは、国のみならず、地方自治体でも大きな課題であるため、太陽光発電の補助金は、国・都道府県・市町村すべてで、行われているような結果になってしまいました。

 また、地方分権にあたって、国と都道府県・市町村が何をやって何をやめるかを決めていないと、いくら地方分権を進めても、国の関与は継続します。国に責任が残る限り、国民から国は何をしているんだという追及が生じ、結局は地方分権を進めても、国としてやらなければならないことが残ってしまいます。

2重・3重行政の発生

 若干例としてあてはまらないかもしれませんが、元来、地方自治体がメインでやってきたことを、国もやるようになった例として、観光施策などが挙げられるかもしれません。

 元来、観光は都道府県や市町村で、PR活動などが行われてきましたが、国の観光に関する所管は国土交通省で、観光部などの形で、観光地への補助などを行ってきました。しかし、国として観光の推進を図る必要性があるということで、2008年に観光庁が誕生し、地方分権という観点では、逆のことが行われた印象です。

多重行政が発生しやすい分野

 多重行政は、国・地方自治体の役割が不明確な分野で発生しやすいです。
 上記の太陽光発電の話もそうですが、中小企業施策や観光などの分野では、規制が少なく、国・地方自治体の役割が明確に法律などで定められているわけではないので、多くの多重行政が発生しています。

 例えば、中小企業施策などは、中小企業の発展を目的として、国で補助金を出し、都道府県で補助金を出し、市町村でも補助金を出している状態です。

まとめ

 結局、地方分権が進んだとしても、国・都道府県・市町村で役割が不明確になると、多重行政が発生しやすくなってしまいます。

 特に、国にその機能・責任が残ると、何かの課題・問題が発生したとき、国の責任が追及されることになるので、国のほうでも対策を打たなければならず、地方分権したにも関わらず、その機能は再び肥大化する可能性があります。そして結局、2重・3重行政は維持されたままとなります。

 これらのことを考えると、地方分権により、2重・3重行政が増える可能性が高いのではと思うです。

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