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百貨店の撤退と不毛な創業支援


相次ぐ百貨店の撤退

 百貨店の撤退が相次いでいるというニュースを見つけた。

2014年9月6日 J-CAST「地方都市の百貨店「ふたつはいらない」 和歌山市は近鉄、熊本市は鶴屋だけと相次ぎ閉店

 ニュースの趣旨は、百貨店の撤退が続いており、特に地方都市ではこれまで百貨店が複数あった都市でも、1つしか残らないようになった事態になっているというものだ。

 百貨店の撤退自体は珍しいことではないし、経済が疲弊している地方となると、当然といえよう。特に地方では、大型のショッピングモールなども多くできて、競争が激化しているともいえる。

 ただここで気になるのは、高島屋和歌山店・近鉄百貨店桃山店など、地域外資本の百貨店の撤退が多いということである。
 大手の百貨店であったり、地域に思い入れの少ない地域外の百貨店は、やはり逃げ足も早いということか。


市場と事業展開

 ただこの百貨店の展開というものは、市場成長と合わせて考えると、オーソドックスな事業展開である。

 大きな資本を有していたり、大手の企業という視点で考えると、市場成長との関係では、次のような推移をとる。

 ①市場成長期
  市場が成長しているので、低い利益の地域であまり展開しなくても、企業としては大きな利益を得ることができ、儲けることができる。
  また、市場の成長に対し、企業としての事業展開がついて行かず、他の地域へはなかなか展開できないという面もある。

 ②市場安定期
  市場が安定してくると、これまでの市場を対象としていては、企業としては成長できない。そこで、利益は低いが、他の地域への事業展開が行われる。

 ③市場衰退期
  市場が落ち込んでくると、低利益どころか、赤字の地域も出てくる。そうなると、より利益の低い(もしくは赤字の)地域から撤退する。

 このように考えると、市場衰退期にある百貨店市場において、上記の百貨店の撤退は、当然といえる。


創業が起こりやすいとき

 ただこれは、創業の在り方とも関係してくる。
 市場が衰退しているときには、その市場では創業は起こりにくい。また、市場が安定していても、比較的、大手の企業との競争にも晒されやすいので、創業としてもたいへんであり、大手との差別化が重要となる。

 そして何より、創業が起こりやすいのは、やはり市場が拡大しているときなのである。
 どのような時代にも、既存の事業者がいたり、大きな資本を有している人・企業がいるものである。ただ、市場拡大期においては、これらの大企業などは、市場規模が小さかったり、低利益の市場には、参入はあまりしない。参入しても、市場規模が拡大しているので、それらの
大企業だけでは対応できず、余剰需要が発生するので、創業してもその余剰需要で存続が可能となる。

 ここ20~30年、日本は創業率が低いままであるが、これは市場が拡大していないため、市場参加が乏しく、低い創業率となっているのである。逆にそれ以前の高度成長の頃に見られるように、市場が拡大していると、創業も多くなるのである。


今の創業支援

 ここで、現在の政府の中小企業対策を見ると、大きな一つの柱は、創業支援である。
 政府は今、創業を増やそうとしており、「創業補助金」などの形で補助金を出して、創業を増やそうとしている。

 従来からも、ベンチャー支援などもあったが、今回の創業支援の特徴は、何でもありの支援である。従来のベンチャー支援は、成長分野であったり、特別な技術などを有する企業を対象としていた。しかし現在の創業支援は、特別な技術などは不要で、とりあえず操業を増やそうというものである。そして、これまでの「低創業・低廃業」経済から「高創業・高廃業」経済への転換を図り、経済の活性化を政府は狙っている。


不毛な創業支援

 ここで、上記の百貨店の話や市場成長などの話を合わせると、低成長で創業がなかなか起らない中、補助金などの手段を用いて、無理をして、政府は創業を増やそうとしているのである。
 そもそも創業が起こりにくい経済環境であるので、このような施策はうまく行きにくし、仮に創業が増えても、衰退する市場や大企業をライバルとしなければならない市場では、存続は難しいだろう。

 つまり、経済・産業の活性化を図るために創業支援を政府は行っているが、むしろ逆で、需要を拡大し経済・産業の活性化を図れば、創業は必然的に増えるのである。そしてこの意味で、現在の創業支援は不毛である。

 ならば、どうやって需要を拡大するか?

 例えば、現在でも行われているが、海外市場を見据えれば需要は拡大するので、海外展開支援といったものが考えられる。

 また、海外を除いても、大企業-中小企業、都会-地方などといった軸で、市場をセグメント化し、規制をかければ、需要は拡大する。例えば、規制をかけるなどして、国内での大企業の市場シェアの低く抑えれば、大企業は海外展開で成長を維持するしかなく、中小企業の需要は拡大する。

 改めて言うが、現在の創業支援は、逆のことを行っている。むしろ、規制を強化するなどといった面も含め、まずは市場・需要を拡大することが重要なのだ。







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