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このままでは農業は成長産業にはならない。何歩も先を目指す必要がある。

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概要

 農業は成長産業になりうるという議論がある。日本の農産物は高品質であり、もっと輸出を展開すればいいというものだ。
 ただ現状のままではダメで、株式会社参入などの様々な規制を緩和しなければならないともされている。

 しかし、農業・農産品は勿論、その周辺分野を含めて考えると、あまりにも周回遅れの感がある。
 改めて、農業・流通などの歴史を考えると、現在、農業ビジネスは大きな改革が求められている時代に違いない。


何が行ってきたのか?

 農業・流通などの歴史を振り返り、何が起こってきたのか、どうなっていくのかを考えたい。

 まず、農業生産は、土壌改良・品種改良など、様々な技術で生産性を向上させてきた。また存分に設備を活用するためにも、大規模農業が求められてきた。しかし、「農業の未来」で述べたように、農産物の生産方法について、大きな革命が来ていると思う。農産物は田んぼや畑で作るものから、工場で作られるようになるだろう。勿論、露地栽培は残るだろうが、オランダなどでは植物工場が進んでおり、日本でもいつの日か、スタンダードになるだろう。10年後か20年後か、正直わからないが、現在はまさしく変革期を迎えていると思う。

 植物工場に関連するが、農産物生産は更にグローバル化するに違いない。植物工場まで進めば、農業の地域性というものはなくなるので、世界各地で様々な農産物が作られることになる。そこまでいかなくても、露地栽培の野菜などは、海外でもっと生産されるようになるだろう。10・15年ぐらい前から、日本の商社等により中国で野菜の生産技術が伝えられ、生鮮野菜が輸入される時代になった。日本の栽培技術は素晴らしいと言われるが、技術が伝えられれば、(気候に違いはあるが)海外でも同じものが作られる。むしろ賃金水準を考えると、海外で生産したほうがよい。また、海外で安く生産できるということは、日本からの輸出はできないということである。

 そして海外での生産を支えるのは、物流の高度化であり、保存技術の向上である。予冷(出荷前に野菜などを冷やすこと)から冷凍まで、日々技術は向上している。予冷では分かりにくいが、冷凍技術で考えると、急速冷凍、瞬間冷凍、CASなどの技術向上の歴史を見れば、明らかだ。海外で大量生産して、冷凍保存などを行い、船で輸入される時代が来るだろう。

 つまり、現在起こっているのは、次の点だということだ。

  • 農業の工業化
  • 品質の標準化・同質化
  • 生産のグローバル化


規制緩和などはどうでもいい

 このように考えると、株式会社参入などの様々な規制緩和の議論はあまりにも小さい。

 ただでさえ遅れている日本の農業であるが、もっと何歩も先を見据えないと、農業は成長産業にならないどころか、日本の農業は亡くなってしまうだろう。

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