現在、国際戦略港湾について、運営会社の統合が進められている。
国際戦略港湾とは、「長距離の国際海上コンテナ運送に係る国際海上貨物輸送網の拠点となり、かつ、当該国際海上貨物輸送網と国内海上貨物輸送網とを結節する機能が高い港湾であつて、その国際競争力の強化を重点的に図ることが必要な港湾」(港湾法2条2項)というもので、現在、東京港、横浜港、川崎港、大阪港、神戸港の5つの港が指定されている。
港湾の国際競争力が求められる中、東京港、横浜港、川崎港の3港が京浜港として、大阪港、神戸港の2港が阪神港として、統合を進めている。そして、このような動きに対し、国土交通省が統合会社に対して、出資をすることが検討されている。
このような中、今日、面白いニュースがあった。
それは、東京都の猪瀬知事が、国の出資に対して、地方分権に反するとして、反対を表明するというものだ。
他方、阪神港については、運営に国が積極的に関わるよう求める声が経済界から上がっていたという。
同じ国際戦略港湾に関する出資の話であるが、まったく反対の意見で非常に興味深い。
そしてここに横たわるのは、財政力のある首都圏と、財政基盤の弱い関西圏といった財政的な側面が大きいのだろう。
ただ私が思うのは、今回の国の出資は、猪瀬知事がいうように、やはり地方分権に反することだと思う。
阪神港において、資金が重要であれば、出資ではなく交付金という形で大阪府や兵庫県にお金をだし、そこから出資をしてもいいだろう。そうすれば、運営会社に対して、国は経営には参画することはできず、地域だけでマネージメントが可能である。
そもそも、今回のような国の出資や国際戦略港湾という考えが間違っていると思う。
国際競争力の強化のために国が関与するというのはもっともらしいが、東京都だけで韓国一国の経済規模を誇ると言われており、東京都だけでも、国際競争に対して十分に対応が可能だろう。むしろ、国が関与してきたからこそ、国際競争力が失われてしまったのではないかとも思ってしまう。
また、国際戦略港湾以外の他の地域にとっては、全く無関係な話である。このような財政措置が行われることで、むしろ一層、地域格差拡大を招くことにつながるだろう。
私は、国による港湾政策はやめて、地方にその財源を回すべきだ。そしてその財源をもとに、それぞれに地域で、港湾政策を行えばいい。地域によっては港湾対策を縮小するところもあるだろうし、立地を考えると福岡のようにもっと国際化を進めたらいいと思うようなところもある。
逆に、本気で国が国際競争に打ち勝つために、港湾対策を行いたいというならば、明治時代のように国策会社をつくればいいだろう。
今回の国際戦略港湾を巡る2つの意見。
絶えず続いてきた国の中途半端な政策の結果であり、時代の流れから言って、港湾政策についても地方分権を進めるべきだ。
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