意外と面白い、さくらんぼナイター
ニュースを見ていたら、甲子園で「さくらんぼナイター」というものが行われたそうだ。
さくらんぼナイターというと「何?」と思うのだが、記事を読んでみると、甲子園のプロ野球戦で、さくらんぼや米などをプレゼントし、PRを行ったというものである。
2014年6月7日 山形新聞
「甲子園球場で「さくらんぼナイター」 山形の旬をPR、選手や観客にプレゼント」
名称は面白いが、中身としては、よくありそうなPRであり、一見すると何ということはない。
ただちょっと考えると、これは意外と面白い取り組みではないかと思う。
記憶を考える
人間の記憶には、意味記憶とエピソード記憶があるとされている。簡単に言えば、意味記憶は知識であり、エピソード記憶は思い出だ。そして、エピソード記憶のほうが記憶力が高いとされている。
このことを考えると、上記のさくらんぼナイターは、ただでさえナイターという特別なイベントでエピソード記憶に残りやすい状況で、さくらんぼをプレゼントするのだから、単に街中などでさくらんぼをプレゼントするよりも、記憶という点では効果が高いのではないかと思う。
また、お米もプレゼントしており、家に帰ってからも、このことを思い出すので、より記憶に残りやすいのではないだろうか。更に、ナイターという特別なイベントであるため、日常的な出来事以上に、他の人にも伝えたくなるという効果もあり、PR効果も拡散しやすいだろう。
どうしても、PRというと、質とか味とかにこだわりがちだが、覚えてもらわなければ始まらない。その点で、記憶というものにもっと着目したほうがいい。
ナイター以外でのPR方法
とはいえ、なんでもかんでも利用できるPR方法ではないだろう。
1つは、やはり食に関するものをPRする際に行ったほうがいい手法であろう。視覚・味覚・触覚・嗅覚など、多くの感覚を刺激するので、記憶に残りやすい。
2つは、食に関するものといっても、食がメインのイベントなどでは、ライバルが多いため、どうしても記憶に残りにくい。また、日常的なところでは、エピソード記憶として、残りにくい面もある。これらの点から、食以外のイベントで、PRを行う必要がある。
3つは、その場で食べることができるものと、家にもって帰るものを組み合わせてプレゼントなどをすることだ。そして、家にもって帰るものとしては、できたら一定期間、保存ができたり、食べ物以外の製品であったほうがいいだろう。さくらんぼナイターでは、米であるが、例えば、ちょっと飾っておきたくなるようなグッズなどでもいいと思う。
そうすることで、その場の記憶だけではなく、家に帰ってからでも、PRしたいものを思い出しやすくなるだろう。
このような条件を満たせば、ナイターにこだわる必要はなく、他のイベントなどでも、PRが可能と思われる。例えば、学会やセミナーなどでもいいだろうし、美術館・博物館などでのPRも考えられるだろう。
そして、上記のように、「さくらんぼナイター」など、ちょっと気になるネーミングならば、新聞などのメディアでも取り上げてくれるだろうから、パブリシティ効果も得られ、PR効果は高まるに違いない。
よく食のイベントなどに行くと、様々なものを試食したりするが、記憶に残ることは少ない。むしろ、このような仕組みでやったほうが、効果としては高い部分があるのではないかとも思う。
イベントとしては限られたり、ある程度の予算が必要にはなるが、このような方法を意識して、もっと観光や地場産品などをPRしてもいいと思う。
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