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馬鹿げたことだ! 法人住民税の国税化

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 来年度の税制改正大綱で、法人住民税の一部を国税化し、地方交付税の原資とする案が挙がっているという。
 そしてそれに対して、交付税不交付団体の自治体の首長などが反発している。

外部リンク2013/12/13 中日新聞「知事ら反発「分権逆行」 税制改正大綱」


 はっきり言って、このような制度は、非常に馬鹿げていると思う。
 地方分権に反するというよりは、むしろ誰が地方経済を担うのかという点を考える必要がある。

 法人住民税は、均等割と法人税割に分けられる。均等割とは利益の有無に関わらず、発生する税金である。法人税割は法人税額の一定割合を納付するというもので、基本的には利益に応じて、課される税金である。

 このようなことから、自治体としては、地域の企業が儲ければ儲けるほど、税収が増える仕組みとなっている。そのため、自治体としても、地域の経済の発展のため、様々な施策や地域活性化策を行っている。

 しかし今回のような措置が採られれば、地域の企業が儲けなくても、国から交付税が貰える仕組みとなる。地域の企業が発展するよりは、いかに国からの交付金を貰えるかが重要となる。

 そうなると、地域の経済を考える存在がいなくなってしまう(少なくともインセンティブは乏しくなる)。

 この代わりに、国が何とかしてくれればいいのだろうが、それは甘い考えだ。よく国は地方対策を行っているというが、必ずしもそれは自分の地域が入っているとは限らない。言い方を変えれば、国や霞が関の人が、行ったことのない・知らない地域に対して、愛の手を差し伸べるということはないのである。

 このように考えたとき、地域の経済を守り発展させるのは、その地域の企業であり、それをサポートする自治体なのだと思う。
 この点で、今回のような措置は非常に馬鹿げている。

 交付税という制度を維持するには、財源が必要なため、今回のような話が出てきたのだろう。
 しかし、交付税の目的は地域間格差の是正である。その点で、まず地域間格差を助長しているような事業を廃止し、それを財源として手当てすべきだ。例えば、国立という名のつくものは、東京など大都に偏在している。国立大学が最も多いのは、東京であり、国立美術館があるのは、東京・大阪・京都だけである。地方税・交付税は総務省、教育・文化は文科省という省庁の違いはあるが、これでは政策的な整合性がとれているとはいえない。

 例えば、北海道の人にとって、愛知の景気が良くても関係ない。
 地域経済を維持・発展させる担い手として、各自治体の施策・取り組みが重要であり、そのような点で自治体にインセンティブをもたらすような仕組みが重要なのである。

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