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地方自治体の資金繰り

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 地方自治体も多くの借金を抱えていることは知られている。そしてその多くは、地方債という形で、資金調達を行っている。
 しかし、地方債はあくまでも長期の資金である。企業において、短期借入と長期借入があるのと同様に、地方自治体でも短期の借り入れを行っている。
 例えば、年度末になると、多くの支払いを行わなければならず、3月・4月には多くの資金需要が発生する。そうなると、手元の資金では足りない状態が生じてしまう。そこで、一時的に銀行からお金を借りるということが行われている。「一時借入金」というもので、一般的に「いちかり」と略称されている。

 年度によっても変わるが、自治体によっても、その利用状況は異なる。
 下表は、平成23年度決算の都道府県別の一時借入金利子である。神奈川県のように0円のところもあれば、愛知県のように4億円以上支払っている県もある。


利払い多い順 利払い少ない順
1位 愛知県 467,039千円 1位 神奈川県 0千円
2位 兵庫県 433,073千円 2位 宮崎県 38千円
3位 北海道 249,004千円 3位 広島県 112千円
4位 岡山県 204,129千円 4位 徳島県 154千円
5位 大阪府 136,593千円 5位 大分県 374千円
(出典)総務省「都道府県決算状況調」


 資金に余裕があれば、一時借入金などを行わなくても済むが、ほとんどの自治体ではそうはいかない。
 また、一時借入金を行っていないからといって、資金に余裕があるとも言い難い。その分を地方債など長期借入で行っている可能性もあるからだ。実際は分からないが、例えば神奈川県は一時借入金の利払いは0円だが、その分を地方債などの資金で賄っているだろう。通常は、短期よりも長期の利払いのほうが高いため、一時借入金が少ないからと言って、借金全体から見ると、必ずしも利払いが少ないとは言えないだろう。

 地方債など長期の借入と比べ、一時借入金には次のようなメリット・デメリットがある

メリット ・低い利子で資金調達ができる。
デメリット ・各部署の資金需要を把握しなければならないので、事務負担が増える。
・資金需要の把握を誤ると、借りすぎてしまう可能性がある。


 いずれにせよ、地方自治体に潤沢な資金があればいいが、そういう状況ではないので、一時借入金は致し方ない面がある。
 ただ、一時借入金の利払いも税金で行われる。できるだけ最小化して、資金繰りを行ってほしいものだ。


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