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消費税増税で儲かる人たちがいる?

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 来年度から消費税増税が行われる予定である。
 増税が行われるわけなので、通常は儲かるはずはないのだが、消費税増税で儲かる人たちがいる。

 1つは、免税事業者である。消費税は事業者が納税するわけだが、売上が1,000万円よりも小さい事業者の場合、納税は免除されている。しかし通常、内税で処理されており、免税事業者かどうかは分からないので、消費者から消費税をとっている場合が多い。そこで、増税が行われると、その分だけ、その免税事業者は儲かることになる。

 もう1つは、軽減税率が導入された場合である。
 軽減税率とは、例えば、食品などに対しては、低い税率を導入するというものだ。消費税は逆進性が強く、低所得者には不利と言われており、それを是正するために検討されている。
 これは一つの考えで正しいわけだが、次の消費税の納税額の式を考えると、軽減税率により儲かる人も出てくる。

  消費税額 = 売上(税込) - 仕入(税込)

 消費税額は、税込の売上から税込の仕入額を引いた額が納税額である。現状は、売上も仕入も税率は変わらない。しかし、例えば食品に軽減税率が導入されると、売上の税率と仕入の税率は異なることになる。例えば、売上の税率は5%、仕入の税率は10%ということである。この場合、次のような数値例から分かるように、消費税額はマイナスになる。

 (例)売上100万円、仕入90万円

  消費税額 = 売上100万円×5% - 仕入90万円×10%
       = 5万円 - 9万円
       = -4万円

 消費税額がマイナスの場合には、消費税還付といって、このマイナス分を貰える。つまり、軽減税率を導入して、増税をした場合には、儲かる場合が出てくるのである。

 それでは、どのような人が儲かるかというと、軽減税率の対象となるものによって異なる。
 例えば軽減税率の対象が食品ならば、農家などであろう。農家は野菜という食品を売るので、売上については軽減税率の適用となるが、野菜を作るための種苗・肥料・農薬などは食品ではないので、通常の税率になる。また、軽減税率が書籍などであれば、印刷業などは消費税によって儲かるかもしれない。

 上記の例はある種、極端な例ともいえる。売上と仕入の差額が大きく、通常の税率と軽減税率の差が小さいほど、この現象は生じにくい。

 ただこのように、軽減税率はある種の歪みをもたらす。

 制度や税金などは、簡単なほうがいいものである。これらは誰もが関係するもので、複雑化することは問題だ。また、複雑化することでレントや利権も生まれる。
 シンプル・イズ・ベストといったところか。

参考レント

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