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国の支援で地方の借金は増える!

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 よく国の財政支援を受けて、地方で事業を行うことがある。

 道路・ダム建設のような公共事業は勿論、地域活性化のためのソフト事業まで、様々だ。その際に、交付金や補助金などの形で、国から財政支援が行われる。通常、国からお金をもらうのだから、地方自治体の借金が増えるわけはないのだが、必ずしもそうは言えない。

 まず1つは、補助金などがもらえるため、本来は必要ではなかったり、優先度として後順位の事業が行われる結果、自主財源を用意しなければならず、お金が必要となり、借金をするという形だ。勿論、ある意味、無駄ともいえる。ただ、補助金などを用意することで、自治体の背中を押しているわけだから、国としては成功とも言える部分もある。

 もう1つが重要なのだが、交付税措置というものがある。
 ある事業を行うとき、国の補助金があり、補助以外の部分の資金をどうするかという問題がある。これを「裏負担」というのだが、一般財源や地方債で、その資金を充てることになる。このとき、のちのち地方交付税でこの裏負担分が一部、補助されることがある。
 例えば、下記の例は、補助率50%、交付税措置50%の場合だが、自治体としては、実質的には75%の負担で済むことになる。

 (例)補助率50%、交付税措置50%の場合
     補助率50% + 裏負担50% × 交付税措置50% = 75%

 このとき、裏負担を地方債で資金調達すれば、上記のとおりである。

 問題は、補助金などはなく、特例交付金などの形だけで、地方債の発行が認められている場合がある。上記の場合には、補助金というものがあったが、地方交付税だけで(上記の例では補助率0%で)、国から財政支援が認められている場合があるのだ。

 こうなると、後々の交付税措置を期待して、自治体としては借金をする。言い換えると、国は今は自治体への財政支援はできないが、将来の財政支援を約束して、地方に借金を肩代わりしてもらっている形である。このような制度だと、国の支援ではあるが、地方の借金は増えてしまう。

 すべての省庁で行われているわけではなく、地方交付税の所管が総務省ということもあり、総務省が行う事業で、このような制度が運用されている場合が多い。

 総務省といえば、地方自治体の所管官庁であり、地方自治体はこのような形で、コントロールされている。

 親が子供に対して、「後でこづかいをやるから、誰かからお金を借りて来い」と言っているようで、どうもすっきりしない制度である。
 そして、国の支援というアメのもと、地方自治体の借金も大きくなる。


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