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期待できない地方創生。なぜうまくいかないと思うのか?

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期待できない地方創生

 日本経済新聞のアンケートで、「地方創生」について「期待できる」が35%、「期待できない」が47%となり、地方創生について期待できないが上回ったというニュースがあった。

2014年9月29日 日本経済新聞地方創生「期待できない」47%


 期待できない理由について、様々なものがあるだろうが、次のような点に集約されるのではないだろう。

  • アベノミクスの恩恵は大都のみで、地方は蔑ろになっている
  • 地方創生大臣が決まったが、各省から集められた単なる寄せ集め部隊である
  • しかも、地方創生大臣がいるが、実質的な予算・権限は各省が握っており、できることは限られている
  • 来年の統一地方選に向けたパフォーマンスである     など


 これらの理由は決して間違っていないと思う。
 ただ、政策論として考えた場合、やはり地方創生は期待できないと思ってしまう。


地方でできる経済政策

 そもそも経済政策の基本は、金融・財政・制度(規制)の3つである。そして、アベノミクスの3本の矢は、この基本に基づいて、実施されている。
 ただ、地方の経済政策となると異なってくる。


金融政策

 金融政策とは、言うまでもなく、中に流れる通貨量をコントロールする政策である。そしてこの通貨量をコントロールすることで、物価の安定や景気の浮上を図るものである。
 ただ、各地方で通貨を発行しているわけではないので、金融政策を地方が採ることはできない。


財政政策

 財政政策は、更に大きく分けて2つに分けられる。

 1つは、インフラの整備、産業への補助金など、いろいろな方法はあるにせよ、お金を使うというもの(支出)である。これは、国はもちろん、地方でも行われている。特に、地方においては、この支出が経済政策の中心となる。

 もう1つは、税制で、増税や減税などを行うことで経済対策を実施したり、伸ばしたい産業に対し特別な税制を適用することで、産業育成などを実施するというものである。

 しかし、地方自治体においては地方税というものがあるが、基本的には地方税法で定められており、自由に税制を決めることができない。法定外普通税・法定外目的税という形で、地方税法以外にも税金を徴収することも可能だが、総務大臣の同意が必要である。

 そして同意が得られても、経済対策の中心は減税にあるのだが、この法定外普通税・法定外目的税では増税という手段しかないので、経済の活性化という点ではマイナスの対策しか採れない。

 また、神奈川県の臨時特例企業税のように、違憲・無効とされてしまうというリスクもある。


制度(規制)

 制度(規制)は、法律や条例で規制をかけたり、規制を緩和したりして、企業活動などに影響を与えようとするものだ。

 ただこの規制についても、税制と同様に、その権限の中心は国にある。国が定めたものに対して、地方はそれに反することはできないし、条例などで規制をかけることもできるが、税制と同様に、規制がないところに規制をかけたり、上乗せ的に規制をかけることしかできない。

 また条例などで規制をかけたとしても、違憲などのリスクがある。


一覧表

 以上をまとめると、右のような表になる。
 地方の経済政策としてできることの中心は、あくまでも財政支出にあるのである。
地方
金融
×
財政 支出
税制
規制


政策としての地方創生

 以上から、地方の経済政策は財政支出が重要であり、その政策を行うにはお金が必要なのである。

 しかし、安倍首相はバラマキはダメだという発言もあり、地方の経済政策を考えた場合、この根本が押さえられていない。

 勿論、石破大臣は一括交付金のようなものも考えているようであり、流動的な面もある。

 ただ、地方分権などを行い、上記のような制度(規制)に対する地方の政策的な自由度を増やしたり、現状の仕組みのままでいくならば、より財政支出ができるように地方にお金をより配分しなければ、うまくいかないだろう。

 地方に、よりお金が流れても、地方再生が可能だとは必ずしも思わないが、この根本的な部分を押さえていない限り、地方創生はうまくいかいないと思うし、期待もできないのである。

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