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新品種開発。研究開発においても農業は異質だ。

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 農業は、農業という産業特質もあるが、様々な規制などがあることもあり、他の産業と区別されることが多い。
 そしてこれは、研究開発にも当てはまる。農業の研究開発といえば、新品種開発であるが、通常の製品開発とは大きく異なる。

 1つは、農産品なので、開発期間が長期に渡ってしまう。農産品を作ること自体に、何カ月もかかる上に、交配などを考えると、非常に長期間の開発期間を要する。通常の野菜などでも数年はかかり、更に果樹になると10・20年かかることは当たり前だ。
 2つは、このように長期間の開発期間を要するため、マーケットニーズとずれ易いというリスクがある。現時点では高いニーズがあっても、数年後に開発された新品種はその時代のニーズに合っているとは限らない。
 そして何より、研究開発につきものの、うまく開発ができるかというリスクもある。

 その結果、大企業がほとんどいないこともあり、公的な研究機関が新品種開発において、大きな役割を担っている。勿論、種屋や食品メーカーなどでも、新品種開発は行われている。しかし、都道府県の農業センターなど、新品種開発の大きな部分を公的研究機関が占めている。例えば、イチゴでいえば、「とちおとめ」は栃木県農業試験場、「あまおう」は福岡県農業総合試験場園芸研究所が開発した品種である。米でいえば、最近人気が出ている「ゆめぴりか」は、北海道立上川農業試験場(現:北海道立総合研究機構農業研究本部上川農業試験場)が育種したものだ。
 つまり、通常の製造業では民間が主体となって研究開発は行われるが、農業においては公的部門が主体となっている点で、大きく異なっているのである。

 そして私はこの部分で、新たな仕組みができる可能性があると思っている。なぜなら、リスクの問題であり、金融的な手法と親和性が高いからだ。そこで、民間参入・場化などを進めることで、新たな企業が生まれる余地がある。
 ただ同時に、民間だけではリスクが大きすぎる面がある。何よりも、研究開発のノウハウや人材供給という点でも、公的機関の役割は大きい。

 いずれにせよ、地域にとって官民連携で新たな企業・産業を生み出すチャンスなのかもしれない。


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