地域経済・地域政策について、批評・分析しています!!

本当に農業が地方を救うのか?


地方=農業?

 以前から、アベノミクスの成長戦略の一つとして、農業改革が言われている。
 特に、今後の統一地方選挙、アベノミクスの成果(?)が地方に及んでいない、内閣改造で懸案の石破氏が地方創生担当大臣に就任したことなどから、地方対策の必要性が言われている。そして、地方再生には、農業対策が重要であるという識者などの声をよく聞く。

 正直、農業が盛んな北海道でさえ、地域のGDPの数%しかなく、地方=農業といった発想自体、おかしな話である。地方が生きる道は農業しかないのか、地方の人は農業をするしかないのかといった印象も受け、いい気分がしない。

 農業改革自体は必要であり、地域によってはより産業としての重要性が増すところも出てくるだろう。

 ただ最近思うのは、そもそも本当に農業が地方を救うのか、疑問に思い始めている。


農業改革の成果イメージ

 一般的な議論として、農業改革を行うと、どのような社会になるのかといったイメージを考えると、農業が儲かる産業になり、地域でより多くの人が農業に従事し、暮らしていくといったイメージだろう。そして、高齢化が進んだ地域においても、若者が農業に従事し、地域に留まったり、移住したりすることで、持続可能な地域になってほしいというものだろう。

 改めて、6月に決定された「日本再興戦略」を見ると、このようなイメージである。

【「日本再興戦略」改訂 2014】(抜粋)
(1)攻めの農林水産業の展開
 農業が競争力と魅力ある産業に生まれ変わることで、地域経済の自律的な発展を牽引する役割を果たさなければならない。そのためには、意欲と経営マインドを持った農業の担い手が企業の知見も活用して活躍できる環境を整備することが重要である。そうした環境と農地集積バンクがあいまって、日本の農地が最大限有効に活用され、若者の地方回帰の契機となり、力強い農業の展開につながることが重要である。昨年 11 月に米の生産調整の見直しを含む農政改革の方向を決定したところであるが、これを農業の担い手が将来への希望と安心感を持てる
9農政への大きな政策転換の第一歩として、攻めの農林水産業の展開に向けた構造改革を多面的に実行する。

 今回の改訂戦略においては、①農業委員会・農業生産法人・農業協同組合の在り方を一体的に見直すことで、生産現場である地域において、自主性の発揮とスピード感のある農業経営を可能とすること、②流通とマーケティング、6次産業化を含めた国内のバリューチェーンを再構築すること、③バリューチェーンを国際市場ともしっかりと連結するとともに新たな国内市場を開拓することに総合的に取り組むこととする。これにより、高い付加価値と強固なブランド力を伴いつつ、地域経済の牽引役たりうる攻めの農林水産業を展開する。

 しかし、未来の日本の農業を考えたとき、このような社会は来ないのではないかと思う。


3つの農業の未来

 私は、日本の農業は、大きく分けて、3つの農業のやり方に変わっていくのではないかと思う。

 1つは、以前も書いたが、植物工場である。現在も植物工場はどんどん建てられており、今年のような天候不順などを考えると、今後、一層、植物工場の重要性は増すと思われる。

 2つは、現在でも行われているが、ブランド農産物や特別な農産物を栽培する農家である。今後、競争は激化し、人口減少等から国内需要は減っていくが、ある程度の農家は残っていくだろう。

 そして何よりも重要なのは、3つ目の農家の海外栽培ではないかと思う。そもそも日本で農作物を生産するよりも、海外のほうが人件費・地代が安く、(気候などの要素もあるが)通常の露地栽培を考えれば、生産要素として土地が重要なので、海外で生産したほうが大規模化もしやすく良い面も多い。そもそも、需要も今後は日本よりも海外のほうがあるのだから、海外で作ったほうが手っ取り早い。

 歴史を考えれば、製造業で、生産拠点や海外での需要を求め、海外進出が進んできた。農業と製造業では違うという意見もあるかもしれないが、気候・土壌などという自然の要素はあれ、産業・経営という観点で本質的には変わらない。
 かつて中国の輸入野菜が問題になったが、そもそも中国で野菜の栽培技術を伝え、日本に輸入するという仕組みを作ったのは、日本の商社ではなかったか。

 実際、レタス栽培で有名な長野県の川上村の農家が、ベトナムで生産を始めているという。

2014年8月15日 ホーチミン経済新聞
ベトナム・ダラット高原、「アジアの野菜庫」目指す-長野県川上村の野菜栽培技術に期待

 今後は、農家の海外進出が進む時代が来ると思う。

 そうなると、当然ながら、国内での農業の拡大は大きなものが見込めず、上記のような特別な農業以外は、国内で生産していても、需要減少や輸入農産物の拡大で儲かることはないだろう。


農業は地方を救わない?

 以上を考えると、時間的なスパンはあるだろうが、農業は地方の重要な産業になるのか疑問であり、地方=農業という図式も描きにくい。

 勿論、地域・農家によっては、植物工場をやったり、いろんな国に出るグローバルな農家なども出てくるだろうが、政府が考えるような地域・農業の姿とは違ってくるのではないかと思う。







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