地域格差が拡大しているか、調べてみました。
概要
よく地域格差が広がっていると言われています。
ただそれが本当なのかを見るため、都道府県の名目GDPで変動係数をとってみました。
変動係数とは、ばらつき具合や不平等さを表す指標で、数値が大きいほど、ばらつき・不平等が大きいと言えます。
なおデータについては、実質で見る方法も考えられmすが、近年のデフレの状況から、名目値を使っています。また、1955年から1974年は68SNA・昭和55年基準、1975年から1995年は68SNA・平成2年基準、1996年から2009年は93SNA・平成12年基準のデータを使用しています。
名目GDP
図1を見ると分かるように、地域格差が大きかったのは、高度成長の1960年代とバブル経済の頃であす。

図1:名目GDPの変動係数
特に、クズネッツの逆U字曲線という話があるように、経済成長が大きいときには格差は大きくなる傾向があります。
1人当たり県民所得
他方、1人当たりの県民所得でも、同様に変動係数をとってみました。

図2:1人当たりの県民所得の変動係数
図2を見たらわかるように、名目GDPと同様の形状をしており、高度成長の1960年代とバブル経済の頃に地域格差が大きくなっています。
ただ注意する点として、名目GDPの変動係数は1以上あるのに対して、1人当たりの県民所得では0.1~0.3の間で推移しています。これは、都道府県間で人口の差があるため、名目GDPのほうが変動係数の大きく、地域格差が大きいということを示しています。
近年の地域格差
そこで問題の近年についてですが、過去の高度成長時やバブル経済時と比べると、地域格差は少ないことが分かります。
しかし名目GDPの変動係数はあがっており、地域格差は大きくなっている傾向が見られます。他方、1人当たり県民所得の変動係数は、2005年前後に上昇を見せましたが、その後低下しています。
言い換えると、近年は(都道府県単位で見た)国民全体の間で格差は減少していますが、都道府県間のGDPにおいては、地域格差が出ているということです。
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