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多選はいいのか、悪いのか?

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多選のデメリット・メリット

 茨城県の橋本知事が、9月8日の選挙で勝利し、6選を果たした。
 6選と言えば、現在の日本の知事の中で、最長の多選知事である。次には、石川県の谷本知事が5期目であり、それ以外は3期目以下となっている。

 多選については、よくその弊害が言われることが多い。

 癒着などの問題が言われたりするが、大きな問題としては、人事の停滞や組織の硬直化だと思う。首長に気に入られた職員が大きな力をもったり、組織上、出世ラインやコースが固定化するので、職員の意欲の低下にもつながる。

 また、施策・政策的に言うならば、多選化するほど、その首長が携わったものが多くなるので、新しいことを行いにくくなる。新しいことを行うには、過去のことを否定的に捉えなければならないことが多く、それは過去の自分の施策・政策への否定につながるからだ。

 ただ反面、いい面もあるともいえる。

 行政組織は、様々な分野の事業を行ったり、行政課題を抱えている。それを理解するには、一定の時間がかかるのも事実である。首長がすべての分野について専門家である必要性はなく、うまく部下を使いこなせばいいという話もある。しかし、部下を使いこなすにしても、ある程度の知識は必要であり、知識は無くても、その分野に関しての政治的な感性を養うには、一定の時間を要する。

 また、上記のように、人事・組織上の弊害はあるのだが、逆に言えば、首長の方針・性格などが分かるので、職員としてはやりやすい面もあると思う。いい意味でも、悪い意味でも、このような話を進めれば、話が通りやすいといったことがあったり、首長の考えを実現するため、どのように施策を行ったらいいのかが分かりやすいということもあるのだろう。

 更には、首長が代わったりすると、必罰人事のようなことも行われる。必罰人事とはいえないにしても、首長が代われば、人事の在り方も変わってくる。橋下氏が当選した大阪長選などは分かりやすい例だったと思う。人事や組織が硬直化するのも問題だが、選挙結果に左右されて、人事が変わるというのも、組織としては問題だろう。


多選の問題は中央集権にあるのでは?

 私としては、多選というのは良くない面があるが、同時に、選挙で選ばれているので、認めざるを得ないことなのだと思う。

 むしろ問題は、首相が毎年のように変わる中、20年以上職務に就く首長がいるという事実である。
 議院内閣制と直接選挙制という選出過程に違いがあるというは言うまでもないが、それにしても大きな違いである。

 そしてこの違いを生んでいるのは、中央政治と地方政治への期待度の違いなのだと思う。
 中央集権的な日本にあって、政治・経済などを変えれるのは、やはり国だという思いがある。逆に、地方政治に対しては、誰がやっても同じ、首長が変わっても地域は変わらないという住民の考えがあるに違いない。
 
 この結果、国政には過大な期待をし、地方政治に対しては無関心となる。そして、この無関心ゆえに、無難な首長が長い間、その職務につき続けることができ、多選化を招いているのだろう。

 首長の選挙もそうだし、海外の大統領選挙なども直接選挙制が採られている。そしてこの直接選挙制は多選化を招きやすいという側面を持っている。
 ただ、海外の大統領選挙の場合には、その大統領が偉大な業績を残したり、大きな力をもっているがゆえに、多選化を招いている。しかし、日本の首長は、力がなく、住民も無関心であるために、多選化を招いているというパラドキシカルな結果といえよう。

 日本の地方政治における多選化の問題は、多選そのものにあるのではなく、地方には権限がないという中央集権の問題なのだと思う。逆に、多選の問題を論じるのならば、中央集権・地方分権といった観点で考えなければならないと思うのである。

コメント

  1. doraemon21120903 より:

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