カレーとラーメンいずれも日本人にとって国民食と言えると思います。
ここで、カレーとラーメン業界の違いや展望について、書きたいと思います。
ラーメンとカレーの類似点
日本人で、ラーメンが嫌いな人はいないと思います。大人から子供まで、誰もが好きであり、日本人にとって、国民食ともいえます。しかも現在では、本場中国のものとは別のものとして、日本のラーメン店が海外にも進出しています。
本当に、ラーメンは素晴らしい食品です。
このラーメンと似た存在として、私はカレーがあると思います。
日本人は誰もがカレーが好きで、子供は勿論、カレーが嫌いな大人はいません。
また、元来は海外のもの。ラーメンは中国で、カレーはインドです。しかしそれを日本人の味覚に合うような形で、アレンジされたものが定番となっています。
ただ同時に、ラーメンとカレーでは大きく異なる点があります。
私はラーメンやカレーの歴史などはよく知りませんが、産業としての発展段階に違うがあるのではないかと感じています。
ラーメンの発展段階
ラーメンの歴史を見たときに、厳密には当てはまりませんが、次のような段階があったように思います。
(経済学的にはプロダクトサイクル、経営学的には成長曲線などの議論がありますが、それらを念頭に置きつつ、ある意味で、無視して議論を展開しています)
ラーメン博物館「日本のラーメンの歴史」
導入期 | 中国からラーメンというものがもたらされた段階。 特別な存在であり、日本人の多くは食したことがなく、味も日本人向けとはいえない。 |
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アレンジ期 | 味が日本人向けにアレンジされ、人気を博する段階。 |
安定期 | 日本人向けにアレンジされたものが、日本人全体の定番となる段階。 ラーメンでは、しょうゆラーメンなどが一般的になった時期であります。 ただ同時に、地域で様々なラーメンも生み出される時期。 |
台頭期 | 定番化したものから、地域で生まれた新たなものが台頭してくる段階。 ラーメンでは、博多ラーメンなどのとんこつラーメンなどが登場し、人気が出てくる時期です。 |
革新期 | 従来の定番であったものが、新たなものに押され、むしろ新たなものがスタンダード化してくる段階。 ラーメンを考えると、しょうゆラーメンの力は弱くなり、とんこつラーメンが一般的となった段階です。 |
多様期 | 変革期で力をつけた新たなものをベースとしながら、様々なものが出てくる段階。 ラーメンでは、現在のように、元来のしょうゆラーメンがあったり、とんこつとしょうゆを合わせたしょうゆとんこつラーメンなど、様々なものがある時期です。 |
カレーの段階は?
ラーメンの段階説を仮定したときに、カレーはどのような段階にあるかを考えると、現在は安定期から台頭期に移りつつあるのではないかと思っています。
インド風・洋風などを除いて、日本人の基本的なカレーの定番はおおよそ定まっています。
様々なアレンジがありますが、カレールーからレトルトまで、本場のインドカレーとは異なり、日本風にアレンジされたものが定番化しています。
そして最も分かりやすいのが、カレーのチェーン店である「カレーハウスCoCo壱番屋」のカレーでしょう。インドカレーのように独特のスパイス・風味といった感じはないが、癖がなく、すべての日本人に合った味となっています。ラーメンでいえば、しょうゆラーメンといったところです。
しかし近年、このような状況は変わりつつあります。
地域で様々なカレーが作られていますが、その中で、新たな動向を見せているのが、金沢カレーの「ゴ―ゴーカレー」です。
もともとは地域カレーの一種に過ぎませんが、各地方でいろいろなカレーが作られていながら、地域限定に留まっている中、「ゴ―ゴーカレー」は、チェーン展開を進めています。味としては、濃厚だが、同時に癖があります。まさしく、濃厚な新たな味として広がっていったとんこつラーメンと同じような動向を示しています。
すなわち、このゴーゴーカレーの動向は、ラーメンの段階説を考えたとき、安定期から革新期に移行しているように思えるのです。
今後、どうなるのだろう?
正直、このゴーゴーカレーがどうなるか分かりません。
ただ、ラーメンと同様に、日本人が好きな食品であるカレーについて、もう一段階ハイブリット化するような時期があり、現在のその段階に来ているような気がしています。
そしてこれにより、日本のカレー市場は新たな段階を迎えると共に、ラーメンのように、本場とは違うが新たな食品「Japanese Curry」として、展開できることができるのではと思います。
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