自治体とコンビニなどとの包括協定について、書きたいと思います。
これまでの協定
2000年代中頃から、自治体とコンビニなどで、包括協定を結ぶ例が多くなっています。
従来、民間企業と自治体との協定とは、防災に関する協定が中心でした。自治体では地域防災計画というものを策定しており、何か災害があったときに、食糧についてはスーパー、運輸に関してはトラック会社などに協力を求めるというものです。
(例)福島県地域防災計画(一般災害対策編)
県は、農業協同組合、米穀取扱業者等と災害時の食用米の供給に関する協定を締結している。また、スーパーマーケット、ホームセンター、卸売業者等など、店舗や流通に在庫を有する企業等とも食料や生活必需品の供給に関する協定を締結しているが、災害発生後の時間経過により、被災者のニーズが変化していくため、そのニーズに応じた物資の調達を進めるものとする。
2 物流、物資配送等の災害対応業務
県は、民間の倉庫を支援物資の受け入れ拠点として位置づけ、事業者に物資の管理、受払い、運送業務を委託するため、福島県トラック協会、福島県倉庫協会と災害時応援協定を締結し県災害対策本部に参画する体制を整備するものとする。
包括協定
しかし、最近結ばれている包括協定は、このような災害に関するもののみならず、地域の食材を使った商品、レジ袋削減など、商業・環境など様々なものが含まれています。
また、多くは都道府県で行われていますが、一部の市町村でも実施されています。
例えば、福島県では、次のような包括協定を結んでいます。
- 2009/4/2 セブンイレブン・イトーヨーカ堂・ヨークベニマル
- 2010/5/10 ローソン
- 2011/2/8 NEXCO東日本
- 2011/9/22 イオン
- 2012/12/19 東邦銀行
- 2013/1/29 同志社大学
このように、自治体が、包括協定を結ぶ相手先としては、コンビニ、スーパーなどが多いのですが、銀行、大学などといったように多岐に渡っています(なお、市町村では、政令市など大きな市ではコンビニ等と、小さな市町村では立地している大学などと協定を結んでいる場合が多い)。
この他、石川県や三重県などのように商社と、鳥取県や島根県のようにIT企業(マイクロソフト、楽天)などと協定を結んでいる場合もあります。
メリット
それではなぜ、包括協定を結ぶのかという点です。
協定先によって異なりますが、コンビニなどを例にとると、自治体にとっては、コンビニに地元食材を使ってほしいという面があります。また、コンビニの集客力に着目し、観光PRなどをしてほしいなどの面もあります。
逆に、コンビニサイドとしては、CSR・地域密着型を謳えるという点です。また、このような抽象的なイメージだけでなく、キャンペーンをうったり、新規出店などのタイミングを見計らって、協定を結ぶということも行われています。
実際は…
このような包括協定であるが、実際の取組みとしては、協定に関するものをほそぼそと行っているというだけで、大きな効果はありません。むしろ、協定を結んだときが一番盛り上がるといったように、セレモニー的な要素が多いです。
言い方を変えると、協定を結ばなくても、企業サイドとしては企業戦略として計画を予定していたり、できることを協定に結んでいるに過ぎません。
とはいえ、そもそも大きな期待がかけるほうがおかしいともいえ、このように考えると、地道に継続していくことが重要だと思います。
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