「サザエさん」像への課税
世田谷区の桜新町商店街の「サザエさん」像に対して、固定資産税が課税されるそうだ。
芸術品ならば非課税だが、今回は商店街のPRということで、課税対象となった。
単純に考えると、商店街の街並みを変えようという試みであり、何となく納得がいかない気がする。しかし、どこかで線を引かなければならない以上、仕方がない気もする。
しかし、商店街自体では収益を上げておらず、会員の会費だけで運営しているという商店街の状況を考えると、非常にこのコスト負担は大きいだろう。特に今回の場合、1私人のものではなく、公共的な位置づけが大きいことから、固定資産税の支払いを何とかする必要があると思う。
サザエさん像を撤去する
1つは、サザエさん像を撤去することを考えることだ。
このようなシナリオを持つと、商店街サイドとしても、交渉のオプションを持つことができる。今回の課税により、サザエさん像を撤去しなければならないとしたら、当然、東京都に非難が起こるだろう。
そして、減免などを認めてもらったり、新たな減免の制度を設けるように、東京都に働きかけることが考えられる。
特に、この問題はサザエさん像だけの問題ではない。都内には同じようなものがいくつもあり、他の地域でも同様の問題がある。
しかし、固定資産税が問題となって、街づくりや地域活性化の取組みが阻害されるようなことがあってはいけない。
むしろ、行政サイドとしては、このような問題を受け、新たな仕組みを導入する必要があると思う。
サザエさん像を寄付する
とはいえ、新たな仕組みというとハードルが高い。
もう一つ考えられるのが、世田谷区に像を寄付してしまうという方法だ。
固定資産税は、下記の通り行政機関のもつ資産にはかからない(なお、下記の第五条第二項第二号、第三章第二節は、固定資産税についての規定である)。
市町村は、国並びに都道府県、市町村、特別区、これらの組合、財産区及び合併特例区に対しては、固定資産税を課することができない。(地方税法348条第1項)
(都における普通税の特例)
都は、その特別区の存する区域において、普通税として、第四条第二項に掲げるものを課するほか、第一条第二項の規定にかかわらず、第五条第二項第二号及び第六号に掲げるものを課するものとする。この場合においては、都を市とみなして第三章第二節及び第八節の規定を準用する。(地方税法734条1項)
そして、商店街が無償で、維持・管理するという契約を区と結ぶのである。
これならば、固定資産税のコスト負担がなく、現状とあまり変わらない形で、運用することができるだろう。
攻めの行政を!
いずれも、都や区との調整が必要である。
特に、上記のようなことは、例外的な方法なので、行政としてはやりにくい面がある。
しかし、住民・事業者などの街づくりや地域活性化を図るといいながら、もう一方で阻害しているというのは問題である。東京都や世田谷区は何とかしてほしいものだ。
また、他の地域では、むしろ積極的に上記のような仕組みを整備し、打ち出すことが重要だろう。
行政としてもしっかりと街づくりや地域活性化を図るんだという意思を示すことで、住民や事業者はより安心かつ積極的に、街づくりや地域活性化に取り組むことができる。
税金の問題は重要だが、街づくりや地域活性化を考えて、行政サイドから打ち出すような、もっと攻めの行政を行ってほしいと思う。
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