概要
衆議院解散で湧く中、地方創生関連法案が成立した。
地方創生関連法案とは、「まち・ひと・しごと創生法」と「改正地域再生法」の2つを指し、地方創生の中心といわれるような法案だ。
参議院「まち・ひと・しごと創生法案」
参議院「地域再生法の一部を改正する法律案」
法律が成立したことで、改めてこの2つの法律を整理してみたいと思う。
まち・ひと・しごと創生法
この法律は、「国民一人一人が夢や希望を持ち、潤いのある豊かな生活を安心して営むことができる地域社会の形成、地域社会を担う個性豊かで多様な人材の確保及び地域における魅力ある多様な就業の機会の創出を一体的に推進すること」(「まち・ひと・しごと創生」)を行うため、計画や組織づくりを行うという法律である。
そして、大きな構成としては、次のものからなっている。
- 「まち・ひと・しごと創生総合戦略」の策定(8条)
- 「都道府県まち・ひと・しごと創生総合戦略及び市町村まち・ひと・しごと創生総合戦略」の策定(9条、10条)
- 「まち・ひと・しごと創生本部」の創設(11条~20条)

「まち・ひと・しごと創生法の概要」(まち・ひと・しごと創生本部HPより)
「まち・ひと・しごと創生総合戦略」の策定
これは、政府が、次のような事項を定めた戦略を立てるということを定めたものである。
二 まち・ひと・しごと創生に関する施策に関する基本的方向
三 前二号に掲げるもののほか、政府が講ずべきまち・ひと・しごと創生に関する施策を総合的かつ計画的に実施するために必要な事項
閣議決定が必要とされるなどが謳われているが、たいした内容ではない。
「都道府県まち・ひと・しごと創生総合戦略及び市町村まち・ひと・しごと創生総合戦略」の策定
これは、政府が戦略を立てるに当たり、同じようなものの策定を、地方自治体に求めたものである。
多くの自治体では、このような法律がなくても、計画やビジョンを示していることが多い。そのため、このようなものを新たに作るのは意味がない。
そして、地方分権の中で、政府としても、政府の強制ではやりにくいので、努力義務となっている。
ただ、来年度の予算で交付金措置がなされる際に、実質的には地方の「まち・ひと・しごと創生総合戦略」が根拠とされる可能性も高く、自治体にとっては余計な戦略を策定しなければならず、実は面倒な条文であるかもしれない。
「まち・ひと・しごと創生本部」の創設
「まち・ひと・しごと創生本部」自体は、すでに創設されており、閣議決定だったものを、法律上、位置づけたに過ぎない。
平成26年9月3日 閣議決定「まち・ひと・しごと創生本部の設置について」
関係機関への「資料の提出その他の協力」(17条)といった条項も加えられているが、強制ではなく、あくまでも協力であるので、法律がなくても、そもそも可能な行為である。
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