以前、「相次ぐ乾杯条例の制定」で乾杯条例が広がっている旨を書いたが、昨日、北海道の中標津町では、お酒ではなく、牛乳の振興を元にした「牛乳消費拡大応援条例」が制定された。
このような動きは、今に始まったことではなく、昨年より、2つの方向で、乾杯条例は進化をしている。
1つは、対象範囲を変えるというものである。当初は、日本酒を元に広がっていったのだが、富良野市のようにワインを対象としたり、今回の中標津町のようにお酒以外の牛乳まで、対象範囲がそれぞれの地域に応じて変わってきている。更には、新潟県南魚沼市では「南魚沼市コシヒカリの普及促進に関する条例」という形で、素案としては乾杯条例を参考にしたそうだが、乾杯条例とは言えないようなものも登場している。
もう1つは、対象範囲を拡大するというものだ。多くのパターンは、お酒に器などを加えているようなものが多い。中には、石川県金沢市の「金沢の食文化の継承及び振興に関する条例」のように、あまりにも対象範囲が広がり過ぎて、乾杯条例どころか、何が何だか分からないようなものも出てきている。
ただ、お酒の場合、反対意見もあったりすることから、このようなパターンで対象範囲を広げて、条例化するところもあるようだ。
ただいろいろな乾杯条例が登場しているが、やはり重要なのは、ネーミングではないかと思う。
どこでもそうだが、条例化されても、多くの人はその中身を読むわけではない。むしろ、その食いつきという点で、ネーミングが非常に大事となってくるに違いない。
そもそも、「乾杯条例」が広がったのは、「乾杯」という名称が付されたからだと思う。
最初の京都市の条例自体は、全くお堅い「清酒の普及の促進に関する条例」というものである。そしてたぶんこのままでは、広がりは見せなかっただろう。メディアが言い出したことなのか、全国2番目の乾杯条例を制定した佐賀県鹿島市の「日本酒で乾杯を推進する条例」という名称が起源なのかはよく分からない。
ただいずれにせよ、「乾杯条例」という俗称が広まったり、「乾杯」という言葉がヒットしたため、平成25年の6月には、「乾杯」という言葉の入った条例と、最初の京都市のような「清酒の普及の促進に関する条例」のようなパターンが併存していたが、平成25年9月以降は、ほとんどが「乾杯」というキーワードを含んだ条例となっている。
お堅い条例に「乾杯」という俗っぽい言葉が加わったことが、キャッチーであり、人の心をつかみ、広まったのだと思う。
このように考えると、条例とはいえ、やはりネーミングは重要だと思ってしまう。
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