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ゆるキャラなどにも使われている雇用創出事業

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概要

 ゆるキャラの中の人は誰か?当然、職員などが入っている場合もあるが、しばしばあるのが雇用創出事業を使って雇われた人である
 。そして、ゆるキャラのみならず、この雇用創出事業により、様々な分野で雇用が生み出されている。ちょっとした草刈りや交通案内の人であったり、ゆるキャラではないが、数年前からちょっと話題になっている「おもてなし武将隊」なども、この事業で結成されている。

 そこで改めて、この雇用創出事業について考えてみたいと思う。


そもそも雇用創出事業とは

 雇用創出事業とは、これまで厚生労働省により行われてきた「ふるさと雇用再生特別基金事業」「緊急雇用事業」「重点分野雇用創造事業」「起業支援型地域雇用創造事業」の総称である。

 はっきりといつからこのような事業があるかは分からないが、少なくとも2000年代初めの頃からあったと思う。しかし、この事業がクローズアップされたのは、リーマンショック後の不況により、失業率などが増加し、2008年に創設された頃からだと思う。

 上記のように様々な種類があるが、基本的な制度は変わっておらず、簡単に言うと、国が地方自治体などにお金を出し、自治体や民間企業がそのお金で失業者を雇うというものである。

 国が自治体に資金を出し、自治体では基金を創設する。そしてその基金を使って単年や複数年にわたり支出を行い、失業者を雇う。自治体が自ら雇う場合もあれば(直接事業)、民間企業から事業提案を受け付け、その事業に必要な人を雇ってもらうという形で行う場合もある(委託事業)。
 そしてこの事業では、単純に人を雇う費用だけではなく、50%は事業に関する必要にも使うことができる。


Screenshot of www.mhlw.go.jp

厚生労働省HP「雇用創出の基金による事業」


問題点

 このような制度は、私はすべてを否定するつもりはない。民間企業などにとっても、実務的にありがたい面もある。ただ、いくつかの問題があるのも事実だ。

 1つ目は、企業にとってみると、本当は人はいらないが、上記のように事業費ももらえるので、この制度を利用する場合がある。失業対策にはなるのだが、事業の趣旨としてはやや異なって利用されているということである。

 2つ目は、具体的な数値は分からないが、事業の終了により、雇われていた人も失業者に戻ることが多い。人件費が出るのは限りがあるので、その期限が来れば、解雇ということになる。継続して人を雇った場合には、一時支給金というボーナスも用意されているのだが、継続雇用を実現しているところは多くない。

 3つ目は、現状の雇用場を考えれば、ハローワークではなく、民間の求人情報を利用することも多いだろうが、この事業ではハローワーク経由で募集を行っているところが多い。理由は、失業対策という観点から、失業者・求職者であることを証明するため、このような公的機関を使う形をとっているのである。

 4つ目は、多額の財政支出が行われているということである。平成20年から計算しても、この5年間で約1.7兆円の支出が行われている。更に、平成26年度の予算案では計上されていないが、平成25年度の補正予算として、「地域人づくり事業」を創設し、1,020億円の緊急雇用創出事業臨時特例基金を積み増しが予定されているようだ。
 これだけ多くの支出を行っている以上、この事業の是非についても考えなければならないと思う。


思うに

 私自身は、このような制度は必ずしも悪いとは思っていない。上記のような問題もあるが、同時に、地域によっては企業などに人件費を補助し産業育成を考えたり、失業対策という面で財政支出を行わなければならないところがあると思うからである。

 ただ、この制度の一番の問題は、国が行っているということである。地域によって、雇用情勢やその中身、産業政策などは異なる。この点で、このような制度をやりたい自治体は行えばいいし、そうでないところはやめてもいい。
 また、このような事業を行うにしても、国が行うと、全国一律的なルールになる。例えば、今年度は「起業支援型地域雇用創造事業」ということで、起業をメインに添えているが、全国どこでも起業支援を行う必要性はない。

 このように考えると、この制度について、もう一度、考え直した方がいいと思う。

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