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就学援助の県内格差、本当に格差なのか?

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 愛媛県のニュースで、次のようなものを見つけ、気になったので論評したいと思う。

外部リンク2013/09/06 愛媛新聞「就学援助、県内の自治体で格差 教育機会不均等に懸念」


 このニュースを簡単に説明すると、経済的に困難な小中学生の家庭に学用品費や給食費などを支給する就学援助制度について、愛媛県内の自治体で格差があり、教育機会に不均等が出ているということだ。

 ここには、いくつかの論点がある。

 1つは、学用品などは別として、給食などは就学に当たって、義務的な費用ということである。
 親として小中学校に子どもを通わせることを考えると、当然ながら、給食費を支払う必要が生じる。学校側としても、給食費を払っていないからと言って、その子どもだけ給食を与えないことはできない。このように考えると、給食費というもの自体がおかしな制度であり、むしろ、学校側の負担として、給食費は処理すべきである。財源の問題も出るが、地域の子どもは地域全体で育てるという観点から、住民税などの引き上げで対応すればいいと思う。
 このように現物支給化することで、上記のような就学援助制度の問題は軽減されるだろうし、給食費未払問題なども解消されよう。

 2つは、学用品などについても、生活保護制度や児童扶養手当などの制度で対応すればいいと思う。子どもがいる生活保護世帯については生活保護費を加算したり、母子家庭などに出されている児童扶養手当について「経済的困難」などの要件も加えたりすればいい。むしろこのようにできないのは、これらの制度が国により運用されており、地方分権がなされていないことにある。
 また、生活保護・児童扶養手当などが厚生労働省の所管、就学援助制度は文部科学省の所管といった中央省庁の縦割りの問題もある。

 最後に、教育機会に不均等が生じているということだが、学用品費や給食費に差が出たとして、教育や学業に大きな差が出るとは思えない。確かに教科書や給食などの問題は重要だろうが、教育機会の問題ではなくあくまでも貧困問題であり、上記のように貧困対策として行えばいい。また、文房具などを買える必要が大きく異なっていても、就学レベルには大きな差は生じないだろう。
 むしろ、教育という観点で不均等を考えると、私立学校や塾の有無など、民間社会インフラの格差のほうがはるかに大きい。首都圏と地方はもとより、同じ県内でも県庁所在地のとそれ以外の町村では大きな差がある。

 経済的に困窮している家庭にとって、子どもの学用品費などは重要な問題である。これはこれで対応が必要だろう。
 しかし、マクロ的に教育機会の均等を考えた場合、これは些末な問題に過ぎない。逆に、これを問題とすることで、地域としての教育の在り方について問題は矮小化されてしまう。

 私はこのニュースを見て思うのは、議論を矮小化せず、私立学校や塾の有無などを含め、その地域でいかに教育を行っていくかのほうが重要であるということだ。

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