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待機児童は、いろんな問題が絡み合った結果だ。

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待機児童が問題だ

 近年、待機児童の問題が言われている。最近では、杉並区では母親たちの抗議集会があったそうだ(東京新聞2013.2.20「認可保育所不足 杉並区長 議会で具体策示せず」)。
 ただ、この待機児童問題は今始まった問題ではなく、10年以上も前から言われていた。その意味で行政の不作為であり、少子化に拍車をかけたといわれても仕方ないだろう。このような状態で、せっかく子供を産んでも、困ってしまう。


待機児童問題は、都会だけの話

 しかしこの問題について、よく言われているが、実は都会だけの問題である。
 下の表は、都道府県別の待機児童の数について、上位5位の都道府県を挙げたものである。2位の沖縄県は別として、それ以外はすべて首都圏と、都会に待機児童が偏在していることが分かる。逆に、青森県新潟県富山県石川県福井県山梨県長野県岐阜県鳥取県香川県宮崎県では0人となっており、利用児童数よりも定員のほうが上回っている。
 実際に全国で見ると、定員数は2,240,178人に対して利用児童数は2,176,802人と、63,376人の空きがある。こういうものは多少摩擦が生じるので、待機児童を0とすることは難しい部分もあるが、現実は、24,826人の待機児童がいる。人口減少に悩む地方からすると、「いつでも空きがあるから、来て頂戴」というのが実感だろうか? その意味で、地方からすると待機児童の問題は生じていない。

 このように、待機児童問題の裏には、地域格差の問題がある。

都道府県 待機児童数
1位
東京都
7,257人
2位
沖縄県
2,305人
3位
大阪府
2,050人
4位
神奈川県
2,039人
5位
千葉県
1,352人
(出典)厚生労働省「保育所関連状況取りまとめ(平成24年4月1日)」


なぜ、待機児童が生じるのか?

 根本的には、女性の社会進出や共働き世帯の増加、核家族化などがあるのだろう。そのため、上記の杉並区では5年間で、認可保育所への入所申込者数は2倍以上に増えたという。
 ならば保育所を増やせばいいと思うかもしれないが、問題はそう単純ではない。

 1つ目は、規制の問題である。認可保育所となるには、その言葉の通り認可が必要だ。また、同様の施設で幼稚園もあるが、3歳までの子供は受け入れないなどの規制もあるため、幼稚園での受け入れも難しい。

 2つ目は、行政の不作為である。待機児童がいるならば、公立保育所をもっと作ればいい。ただここには、単純に増やせないという事情もある。簡単に言えば、公立保育所をつくれば、その運営費がかかる。折角、保育所を作っても入所する子供が減れば、その施設は遊休化してしまい、財政を圧迫する。上記の認可保育所もそうだが、保育所には補助金も行っているので、認可保育所を増やすと、財政的にも負担が増加してしまう。勿論、国からの補助金もあるが、簡単に保育所を増やせばいいという判断にはならない。

 3つ目は、保育所の規制緩和や民営化、株式会社の参入などの手段で保育所を増やそうという話もあるが、既存の保育所団体などによる反対があると言われている。

 結局、待機児童問題は、地域間格差の問題、規制・しがらみといった古い制度・体質といった問題などにより、生じた現象なのだろう。


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