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「うどん県」「おんせん県」の商標登録。自治体は新たな戦略ステージに入ったのか?

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概要

 昨年、香川県が「うどん県」として、商標登録された。
 また、申請却下となってしまったが、大分県では「おんせん県」として商標登録を申請していた。
 このように、県が一つの商品・名称で商標登録する動きがあるが、これを見ると、都道府県は新たな戦略ステージに入ったのではないかと思ってしまう。

 なぜなら従来、都道府県レベルでは、なかなかこのようなことはやりにくかったからだ。


なぜ、単一商品・名称のPRをやりにくいか?

 町村レベルならばありうるが、都道府県レベルになると、様々な産業・業種がある。
 それを、一つの商品・名称でブランド化するのは、他の業種の事業者のことを考えると行いにくい。言い方を考えると、例えば香川県ならば、同じ食品といっても、うどんだけではない。他にも食品がある中、うどんだけをどうして依怙贔屓するのかという話になる。

 また、他にも様々な商品・サービスがあるため、1つに絞り込むことはできず、他にもPRしたいという考えも出てくる。当然、各都道府県には、1つの商品・サービスが優れているわけではない。いくつもの良いものがあることが常である。そうすると、どれか1つだけPRするという選択肢は行いにくいものだ。

 この他、都道府県レベルになると、1つの商品でPR・ブランド化しようとした場合、地域が限定される可能性がある。例えば大分県の場合、おんせん県といっても、大分県全体が温泉地ではない。

 これらの結果、単一の商品・名称でPRするということは、あまり行われてこなかった。


新たな戦略ステージに入ったのか?

 上記でも軽く述べたが、単一の商品などでPRをしたり、ブランド化しやすいのは、町村レベルである。それは、町村レベルならば、狭い行政区域で地域も限られ、強みと言える商品なども限られやすいからだ。

 上記の香川県や大分県の動きを考えると、このような市町村レベルを戦略を、都道府県レベルでも行うような時代になったのではないかと思ってしまう。

 確かに従来だと、1つの商品で絞り込むことはできず、抽象的なイメージのキャッチフレーズ・ブランド化がほとんどあった。しかし、うどん県やおんせん県であれば、遥かにイメージが湧き、ブランド化もしやすく、戦略としては、十分にありうる方向性である。

 そして、このような戦略をとる都道府県は今後も出てくる可能性が高い。この点で、都道府県は新たな戦略ステージに入ったのかもしれない。


この背景にあるもの

 これを経営学的に見ると、このような戦略を選択せざるを得ない事情があるのだろう。

 中小企業の戦略の基本パターンは、特定の商品や分野に絞り込んで、経営資源を投入し、大企業に対抗する。逆に大企業は、様々な商品を販売したり、様々な分野の事業を有して、経営を行う。

 これを今回のことに当てはめると、都道府県レベルでも、中小企業の戦略を選択しなければならなくなったのだろう。地域間競争が激しくなる中、強みのある商品・分野でしか、勝負ができなくなってしまったといえる。

 逆に、千葉県茨城県のように、ブランド化は難しいが、様々な分野で比較的強いという都道府県もある。

 いずれにせよ、地域間競争を勝ち抜くためには、新たな戦略・方向性が必要な時代となったのかもしれない。

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