磐田信用金庫が、大手企業が持っている特許を活用した企業支援を行うそうだ。
具体的には、大手メーカーが第三者にライセンス等をしてもいいという特許に関し、地域の中小企業へ仲介を行うというものだ。
2014年5月23日 静岡新聞 「大手特許活用、中小支援 磐田信金」
信金などが行うのはあまり聞いたことがないが、このような取り組み自体は珍しいものではない。むしろ様々な地域で行われている。ただ問題は、うまくいった例は多くないだろうということだ。
細かな点は別として、理由は大きく分けて3つある。
1つは、特許だけでは何もできないということだ。特許があっても、それに伴う技術や設備などがなければどうしようもない。特に、基礎技術的な特許であれば、それを実用化する技術・ノウハウが必要である。言い換えれば、ライセンス等で権利を有しても、それを使うことができないことがあるということだ。
ただ今回は、大手企業の特許で、たぶんそのあたりのサポートもあるだろうから、このような問題は少ないだろう。
ただもう1つの問題として、特許はあくまでも特許・技術に過ぎない。重要なのは、この特許を利用して何をするか、この特許を事業化して儲かるかという点である。すなわち、特許を仲介するということよりも、実は事業や事業計画といった部分のほうが重要なのである。しかしどうしても仲介となると、「事業」を仲介するという視点は乏しく、単に「特許」を扱うだけになってしまう。これでは、うまくはいかないだろう。
また、莫大な特許がある中で、どのような特許がいいのか、地域の中小企業に合うのかなど、その判断は難しく、仲介・マッチングの問題もある。
このような知的財産の活用は重要だと思うし、磐田信金の取り組みも頑張ってほしいと思うが、知財活用が言われて久しく、うまく仲介ができるような仕組みづくりも含めて検討してほしいと思う。
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