概要
市町村は、住民生活の基盤となる身近な行政サービスを提供する存在として、基礎的自治体とも呼ばれます。
しかし市町村といっても、市・町・村があるとともに、市はいくつかに区分されます。有名なのが「政令指定都市」ですが、それ以外にも「中核市」や「特例市」というものもあります。
そこで、それらについて再整理します。
指定都市・中核市・特例市の制度
指定都市・中核市・特例市は、人口によって要件が異なり、それらに指定されると都道府県の事務がそれらの市に移譲されるなどの措置がなされます。下の表はそれらをまとめたものです(総務省HPより再作成)。
要件としては、指定都市50万人、中核市30万人、特例市20万人以上で指定を受けることができます。そして、指定を受けると様々な特例があります。
まず、関与の特例として、都道府県が関与している事務について関与をなくしたり、直接国とやりとりをすることになります。また、行政組織として区を設置できるなどの特例もあります。これらを担保するため、地方交付税の算定上所要の措置がとられます。
そして最大のものが、都道府県の事務の一部を市で行うことになるという点です。すべてではないが、指定都市では都道府県の事務の多くが移譲されます。
指定都市 | 中核市 | 特例市 | |
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要件 | 人口50万以上 | 人口30万以上 | 人口20万以上 |
関与の特例 | 知事の承認、許可、認可等の関与を要している事務について、その関与をなくし、又は知事の関与に代えて直接各大臣の関与を要することとする。 | 福祉に関する事務に限って政令指定都市と同様に関与の特例が設けられている。 | |
行政組織上の特例 | ・区の設置 ・区選挙管理委員会の設置 等 |
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要件 | ・地方道路譲与税の増額 ・地方交付税の算定上所要の措置(基準財政需要額の算定における補正) ・宝くじの発売 等 |
・地方交付税の算定上所要の措置(基準財政需要額の算定における補正) | |
事務配分の特例 (都道府県から移譲される事務) |
【都市計画等に関する事務】 ・区域区分に関する都市計画決定 ・指定区間外の国道、県道の管理 ・指定区間の一級河川(一部)、二級河川(一部)の管理 【福祉に関する事務】 ・児童相談所の設置 【教育に関する事務】 ・県費負担教職員の任免、給与の決定 |
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【都市計画等に関する事務】 ・屋外広告物の条例による設置制限 【環境保全に関する事務】 ・一般廃棄物処理施設、産業廃棄物処理施設の設置の許可 ・ばい煙発生施設の設置の届出の受理 【福祉に関する事務】 ・保育所の設置の認可・監督 ・特別養護老人ホームの設置の認可・監督 ・介護サービス事業者の指定 【教育に関する事務】 ・県費負担教職員の研修 【保健衛生に関する事務】 ・保健所の設置 ・飲食店営業等の許可 ・旅館業・公衆浴場の経営許可 |
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【都市計画等に関する事務】 ・市街化区域又は市街化調整区域内の開発行為の許可 ・土地区画整理組合の設立の認可 【環境保全に関する事務】 ・一般粉じん発生施設の設置の届出の受理 ・汚水又は廃液を排出する特定施設の設置の届出の受理 【その他】 ・計量法に基づく勧告、定期検査 |
指定都市・中核市・特例市の現状
現在、全国で指定都市は20市、中核市は41市、特例市は40市で指定されています。
そして、東京都、徳島県、佐賀県、沖縄県以外では、すべての道府県でこれらいずれかの指定を受けた市があり、その多くは道府県庁所在地の市となっています。
指定都市 | 中核市 | 特例市 | |
---|---|---|---|
指定数 | 20市 | 41市 | 40市 |
指定市 | 札幌、仙台、横浜、川崎、さいたま、千葉、相模原、新潟、名古屋、浜松、静岡、大阪、神戸、京都、堺、広島、岡山、福岡、北九州、熊本 | 旭川、函館、いわき、郡山、秋田、青森、盛岡、船橋、宇都宮、横須賀、柏、高崎、前橋、川越、金沢、富山、豊田、岐阜、長野、豊橋、岡崎、姫路、東大阪、西宮、尼崎、豊中、和歌山、奈良、高槻、大津、倉敷、福山、下関、松山、高松、高知、鹿児島、大分、長崎、宮崎、久留米 | 山形、八戸、川口、所沢、越谷、水戸、平塚、草加、春日部、茅ヶ崎、厚木、大和、太田、つくば、伊勢崎、熊谷、甲府、小田原、長岡、福井、上越、一宮、四日市、春日井、富士、松本、沼津、枚方、吹田、明石、八尾、茨木、加古川、寝屋川、宝塚、岸和田、呉、松江、鳥取、佐世保 |
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