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会計年度独立の原則の例外


概要

 地方公共団体の予算について、会計年度独立の原則が適用され、単年度主義が採られている。
 (会計年度独立の原則などについては、「予算に関する原則」)

 しかし、地方自治法上、次の3つが単年度主義の例外として、認められている。

 なお、注意しなければならないのは、国庫補助や国の交付金が入っている場合、地方公共団体だけの意思決定では、このような例外は適用できない。国の予算として処理しなければならない部分が生じるので、実務的には財務省の合意が必要となる。


継続費

 継続費とは、工事など複数年度要する事業において、計画的に事業を実施するため、経費の総額や年割額について、あらかじめ議決を受けておく方法である(ただし、形式的には各年度において、歳出額の予算計上が必要)。

 なお、各年度において年度内に支出が終わらなかったものについては、継続年度の終わりまで繰り越しが認められている(「継続費の逓次繰越し」)。また、最終年度に支出が終わらなかった場合には、事故繰越しも認められている。

普通地方公共団体の経費をもつて支弁する事件でその履行に数年度を要するものについては、予算の定めるところにより、その経費の総額及び年割額を定め、数年度にわたつて支出することができる。」(地方自治法212条第1項)


繰越明許費

 繰越明許費とは、その年度内に支出が終わらない場合に、翌年度に繰り越して経費を使用できるというものである。 
 継続費が計画的に複数年度にわたり支出を行うものに対して、繰越明許費は年度内に支出する予定だったが、何らかの理由により繰り越されるものである。原則的には、1回だけしか認められていないが、本当に例外的に事故繰越しという形で2回まで繰越しが可能である。

「歳出予算の経費のうちその性質上又は予算成立後の事由に基づき年度内にその支出を終わらない見込みのあるものについては、予算の定めるところにより、翌年度に繰り越して使用することができる。」(地方自治法213条第1項)

 なお、単年度主義の例外であり、制度としては便利ではあるが、実務的には、繰越理由が必要、(専決処分を含め)議会議決が必要、そして額が固定化するなど、実務的には面倒な面がある。


債務負担行為

 債務負担行為とは、将来にわたる地方公共団体の債務を負担する行為をいい、複数年度の事業について、その限度額を議決するものである。

 継続費と類似しているが、継続費が総額と年割額を決めるのに対して、債務負担行為はあくまでも限度額を決めるものである。そのため、債務負担行為ではその枠内で変更が可能である。また、継続費は予算計上した年度から始まるものでなければならない。他方、債務負担行為ではあくまでも限度額を設定するものなので、例えば、とりあえず本年度契約を結び、事業を進め、次年度の事業完了後に支払いを行うなどが可能である(事業を進めた年度には支出が発生しないので、「ゼロ債務」と言われたりする)。

 PFI指定管理者は複数年度にわたって事業が行われるが、一般的に債務負担行為が設定されている(なおかつて、債務負担行為は、国においては5年、地方公共団体は無制限となっていたが、現在は、改善されている)。

「歳出予算の金額、継続費の総額又は繰越明許費の金額の範囲内におけるものを除くほか、普通地方公共団体が債務を負担する行為をするには、予算で債務負担行為として定めておかなければならない。」(地方自治法214条)

 なお、財務部局としては、ある種の当たり前の仕組みでもある。ただ、(建設関係の部局は比較的なじみはあるが)原課はなじみが少ない制度であるので、予算要求上、利用が少ない制度でもある。言い換えれば、「債務をうつ」ということ自体、あまり一般的でなかったり、ある種、特別な行為であり面倒が生じる可能性があるため、利用されていないとも言える制度である。


その他

 実務的には、実質的には複数年度の事業であっても、単年度ごとに発注したり、契約等を結び直したりし、事業が行われることもある。
 毎年、予算を計上し、年度当初に支出負担行為を行えば、実質的に、複数年度の事業を行うことができる。

 このような方法が採られる理由としては、事務処理上、慣例化している場合もあるが、単年度ごとに処理することで、受託者や契約内容などの変更の余地が生まれるからである。







コメント

  1. 野田 勝康 より:

    私の議会で、繰越明許費について議論となっている。安易な繰越明許は避けなければならない。確かに、災害や国の経済対策予算が2月頃に可決し、地方に降りて来た場合、入札不調等、繰越理由が明らかなものは仕方ないと言える。しかし、3月定例会で繰越され、その時は「限度額」だけが示され、6月議会では「報告」とされるが、3月の予算委員会で繰越されたが、6月では、完成時期に大きな違いが生じる時(例えば、当初は6月完成➡翌年3月末に完成等)は、何らなの正当な理由付が必要ではないか。また、繰越された完成時期迄に、中間払いが行われた時などは、当初の限度額と6月「報告」では、繰越額に違いがある。説明資料には、中間払により、3月繰越額と6月報告で違いがある場合があるが、もう少し、詳しい、6月報告書が必要ではないか。

    結論、安易な繰越は、執行部サイドは楽であるだろうが、「単年度主義」「会計年度独立の原則」に基づき、予算とその執行は、計画的に行われなければならない。
    安易な繰越は止め、継続費で対応する等、執行に対する計画をしっかり立てる必要を感じる。

    予算委員会で、どの様な改善案を執行部に提言するか?議会として早急な結論を出したいと思っている。

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