日常あまり意識することはないかもしれませんが、都会と地方では、隣県感覚が違うということをもう一度、認識しましょう。
内容
東京や大阪に住んでいると、あまり都道府県境を気にすることが少ないと思います。
東京ならば、学校や仕事場で、埼玉県や神奈川県から通学・通勤している人と会うことは珍しいわけではありません。また東京に住んでいると、自らも気楽に埼玉や神奈川に行くことも多いです。
しかし地方では、都会に比べ、隣の都道府県に対する心理的な距離感覚は大きいと思います。東京や大阪のように、隣県から通勤・通学している人は少ないからです。むしろ、隣県に進学・転勤が決まった場合は、一人暮らしや単身赴任などが行われることも多いのが実態です。
その理由を考えると、2つの要因が考えられます。
一つは、都会と地方ではインフラが大きく異なる点です。
道路は勿論、鉄道網が大きく異なっています。都道府県を跨いだ私鉄があったり、地方では隣県に行く場合には特急か各駅停車しかありませんが、都会では快速などもあり、時間・費用ともにコストが小さいです。そのため、都会で隣県に行き来することは比較的気楽に行われるが、地方ではそういかないことになります。
もう一つは、都会と地方では、都道府県間の距離が大きく違っています。
下の表は、隣接する都道府県庁所在地間の距離の平均です。例えば、佐賀県ならば、佐賀市と福岡市、佐賀市と長崎市の距離を平均しています。
これを見ると、近い順では1・2位は大阪・東京となっており、その多くが東京や大阪の隣接都道府県となっています。
逆に、遠い順では、いわゆる「地方」がほとんどです。特に、北海道・東北北部、沖縄・九州南部、山陰地方で、隣接距離は大きいことが分かります。
以上から、もともと地方では中心都市間の距離が大きく、更にインフラも整っていないため、都道府県間の距離を大きく感じることになっています。
逆に言えば、都会では中心都市間の距離も近く、インフラ整備もなされているため、都道府県境を気にすることは少ないのでしょう。
まとめ
上記のことは、あまりにも当たり前すぎる話です。
しかし、施策を考えたり、地方分権などの論議が出る際には、どうしてもこの事実が抜け落ちてしまっているように思います。
特に、道州制などの論議になると、例えば、九州地方などが一つの州になるでしょう。しかし、これを関東地方や関西地方と同じような感覚で議論してはいけないということです。
同じ九州だからといって、長崎から鹿児島に行くのは、大変だからです。それで、一括りにされるような議論は、おかしいと思います。
地域政策を考える際には、このような感覚は非常に重要なので、忘れないようにしてほしいものです。
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