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世界遺産とご当地グルメから考える認識の変化


明治産業革命の世界遺産登録

 今さら言うことではないが、先日、「明治日本の産業革命遺産 製鉄・鉄鋼、造船、石炭産業」が世界遺産に登録された。
 日本人としては喜ばしいことであり、個人的にも文化・歴史というものが好きなので、一層うれしい。

 と同時に改めて、時代の変化、日本人の認識の変化を感じてしまう。


歴史となった明治時代

 昨年の富岡製糸場と同様に、今回の世界遺産は、いずれも明治時代を対象としたものである。
 これはまさしく、明治時代というものが、現在の日本人の認識として「歴史」となったことを象徴していると思う。

 たぶん、人間が過去のものを振り返るとき、次のような認識を持つだろう。

  現在
   ↓
  過去(自分が体験した過去)
   ↓
  間接的な過去(自分は体験していないが、親・祖父母などから聞いて、間接的に認識している過去)
   ↓
  歴史(自分や親などが体験しておらず、学校・本などで学ぶ過去)


 明治時代といえば、100年近く前の時代である。ただ、20・30年前までは、明治生まれの人も多くいたり、明治生まれではないが、親や祖父母が明治生まれという人も多くいた。上記の図式でいえば、明治時代というものに対し、過去や間接的な過去を持った人たちが多くいた。

 しかし現在に至り、そのような人たちが少なくなり、過去ではなく、本当に「歴史」になった。言い方を変えれば、20・30年前であれば、明治時代のものを見たときに、懐かしいと思ったり、祖父母や両親の話を思い出すといった人たちが多くいたが、現在では、ほとんどの人がそのように感じることができなくなったということである。
 そして、昨年と今回の世界遺産は、これを非常によく表していると思う。

 そしてこれは、何気なく日々生活を行っているが、実は日本人の認識は少しずつ変わっていることも意味している。最近、日本人は右傾化・保守化しているとも言われるように、日々、日本人も変わってきている。ただ、今回のような認識の変化は、それ以上に、暗黙的で根深い、大きな変化であると思う。


都会と地方

 同じような認識の変化は、都会と地方の関係にもあると思う。

 かつて東京は、実は地方の人の集まりだと言われてきた。その意味で、地方は、多くの都会に住む人にとって、かつて住んでいたところであり、ふるさとであった。

 しかし現在は、そうではないと思う。統計的には分からないが、現在、東京に住んでいる人の多くは、東京や埼玉・神奈川など首都圏で生まれ育った人たちが、最も多いだろう。勿論、東京は、全国で最もいろいろな地方から来た人たちが住んでいる地域であることは間違いない。ただかつてとは異なり、東京に住んでいる人の多くは地方人という構造は崩れている。
 こうなると、東京の人たちから見れば、地方はかつてのような「ふるさと」ではなく、異質なもの・珍しいものという図式が成立する。

 そしてこれは、ご当地グルメブームなどに表されているのだろう。また、地方を取り上げたり、地方の県民性を扱ったりするテレビ番組などが放送されたりしているのを見ると、改めて、この認識の変化というものを感じる。

 私はかつて、ご当地グルメなどは、一時的なブームだろうと思っていたが、それは間違いのようだ。一時的なものではなく、大きな認識の変化が生じている。都会から地方を見た場合、かつての「ふるさと」から「珍しいもの」と変化しているのだ。

 そしてこの傾向は、今後も続いていくだろうし、かつてよりもブーム感はなくなったが、ご当地グルメは人気を保ち続けるだろう。


気づきにくい認識の変化

 エピステーメーやパラダイムなどといった大げさな言葉を使うつもりはないが、少なくとも、日本人の認識は、緩やかで気づきにくいが、絶えず変化している。

 上記で私が述べたようなことは、他の人からすれば、正しいかもしれないし、誤っているかもしれない。しかし改めて、今回の世界遺産登録は、認識の変化があるということを感じさせてくれることである。







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