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かつての「ふるさと創生事業」、そんなに悪くない。

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ふるさと創生事業

 かつてバブルの頃、「ふるさと創生事業」として、自由に使える1億円のお金が、国から各地方自治体に交付された。
 ただ、キャバレーや金の像など、無駄なことに使われたとして、批判が多い事業でもあった。そして現在でも、地方創生にあたり、かつてのふるさと創生のようにならないようにという話がある。

 私もあまりいい印象ではなかったが、改めて見てみると、変な使い方をしたのは一部で、その多くはある程度、真面目に使っているところが多かったのではないかと思う。


ふるさと創生でのお金の使い方

 かつて3000以上の自治体があり、すべてを調べることはたいへんであり、いま伝えれているのは、奇抜な例が多い。
 少なくとも一定の地域の自治体の使い方を網羅したものはないかと思っていると、偶々、紀伊民報のニュースにあった。
 「あの1億円はいま 振り返るふるさと創生」というニュースで、和歌山県紀南地方の当時の自治体の使い方が掲載されている。

2015年2月12日 紀伊民報「あの1億円はいま 振り返るふるさと創生」


 見てみると、「ザトウクジラ親子のモニュメント」など、一瞬「ん?」と思うようなものもあるが、一番多いのは、「温泉開発」である。20の自治体のうち、7つの自治体で行っている。

 同じようなことをやっており、知恵がないともいえるが、現在でいえば、ご当地グルメを開発するようなものである。その是非はあろうが、少なくとも観光誘客を図ろうとしていることが分かる。
 そして、和歌山県では南北の格差が言われているように、紀南地方は、産業の発展が弱い。また、北の和歌山に紀州藩があったことも考えると、歴史・文化と言う点での観光振興も難しい面があるだろう。そうすると、行えるオプションはどうしても少なくなるので、致し方ない部分が多いともいえる。


 それ以外の自治体については、自治体によってかなり異なり、一部を挙げると、次のようなものを行っている。

 (例)人材育成の基金、図書館建設、うめ21研究センター建設、南方熊楠顕彰館建設、日本三美人湯サミット など

 事業として成功しているかどうかは別として、必ずしも変なことに使っているとはいえないだろう。
 中には、若者定住のための住宅建設や出産祝い金などをやっているところもあったり、(たぶん将来の財政のためだろうが)ふるさと創生事業基金として留保しているようなところもある。


「ふるさと創生事業」はそんなに悪くはなかった

 和歌山県の紀南地方のものだけではあるが、(その細かな中身は別として)これまでの印象とは異なり、それなりにしっかりとしたことをやっていたのだと思う。

 当時、3000以上の自治体があり、それは中には変なことを行う自治体もいくつかは出てくるだろう。1%の自治体でも、30もの失敗事例が出ることになる。

 一部の自治体の変な事業に注目が集まり、よく「ふるさと創生事業」は悪く言われるが、このことを考えると、そんなに悪い事業ではなかったのではと思う。

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