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特区の限界

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特区の乱立?

 特区が乱立しており、効果が見えていないというニュースがあった。
 内容は、構造改革特区総合特区という制度により、多くの地域で特区ができたが、400もの特区が乱立し、しかも同じような特区が認められたため、特区という効果が薄れ、地域活性化などに本当につながっているのかといったものである。

2014年8月23日 沖縄タイムス「見えぬ効果400超の特区乱立 再検証課題に」

 ここで論点はいくつかある。

 1つは、特区が乱立しているというが、そもそも特区の考えとして、一部の地域で認め、それがうまくいったら全国展開するという考えがある。逆に言えば、特区が成立し、問題がなく、他の地域でもうまくいっているのに、全国展開といった法改正にまで行っていないという政府の不作為がある。
 特区を特区のままにせず、法改正まで行えば、特区は少なくなるわけで、このような特区の乱立・放置は生じない。

 2つは、やはり一部の地域に認められているから有効という側面もある。この点で、現在の「国家戦略特区」は6地域に限定されており、かつての特区よりは効果があることが予想される。
 ただ、国家戦略特区自体、何をしたいのか分からない制度でもある。
 下記のように、国家戦略特区は、国際競争力の強化や国際的な経済活動の拠点形成を目的としている。

【国家戦略特別区域法 第1条】
この法律は、我が国を取り巻く国際経済環境の変化その他の経済社会情勢の変化に対応して、我が国の経済社会の活力の向上及び持続的発展を図るためには、国が定めた国家戦略特別区域において、経済社会の構造改革を重点的に推進することにより、産業の国際競争力を強化するとともに、国際的な経済活動の拠点を形成することが重要であることに鑑み、国家戦略特別区域に関し、規制改革その他の施策を総合的かつ集中的に推進するために必要な事項を定め、もって国民経済の発展及び国民生活の向上に寄与することを目的とする。

 しかし、兵庫県の養父が特区として認められたように、その内容は国際競争力の強化などというよりは、新たな中山間地域のモデル地域の認定という側面が強く、地域活性化などを目的としている。また、提案自体、民間事業者からの提案もOKとなっており、(昨年認定はされなかったが)国際競争力といいながら、私的な企業の競争力強化につながるという側面もある。
 そして何より、当然ながら、特区に認められていない地域からすると、その反発は生まれるだろう。


特区は地域活性化につながらない?

 つくづく思うのだが、特区というものは、そもそも地域活性化につながらないのではないかと思う。

 制度の一部を規制緩和するというスタイルでは、地域の独自性を発揮するには限界があるし、上記のように、同じ特区がいくつもの地域にあるような事態につながってしまう。

 逆に、国家戦略特区のように絞れば、その効果は表れやすいだろうが、国の規制緩和に合致したものしか、特区は認められない。選定に関しても、しっかりとしたビジョン・理念などがなければ、上記のように何を目的としているのか訳のわからない特区が選ばれてしまう。
 また、特区はあくまでも一部の規制を緩和するということであり、緩和された規制に基づいて、何を行うかで、その効果も異なってくる。規制緩和されても、やり方が悪ければ、効果は出ないということだ。
 そもそも、特区を選定するということ自体、正しいのかも疑問である。このような審査においては、内容よりもプレゼンや企画書づくりのうまさが重要になってくる面がある。そして何より、特区を行ったからといって、誰もうまくいくかどうかなんて分からないというのが真実だ。

 このように考えると、特区という考え自体、ある種、限界があるのではないかと思う。
 むしろ原則的に自由にしたり、地域に任せるということをしなければ、地域活性化は図れないのではないかと思う。

 地域活性化のポイントは、地域の特性に応じた多様性であり、多様性があるからこそ、地域の特性も生まれてくる。同じようなことしかできなければ、地域の人口や財政力などに比例した地域活性化しか望めない(むしろ、人口や財政力がある地域が有利に働く)。
 この原則を考えたとき、国が認めるという形の特区では、必然的に限界が生まれるのだろうと思う。

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