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見直しが迫られる企業誘致

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これまでの企業誘致

 企業誘致・工場誘致は、古くからある地方自治体の取組み。
 企業や工場を誘致すれば、税収は増え、地域の雇用も生み出すことができるからです。

 そこでまず、(企業誘致件数ではないが)国内の工場立地についての状況を見たのが、下図です。

全国の工場立地件数

全国の工場立地件数
全国の工場立地雇用予定従業者

全国の工場立地雇用予定従業者


 いずれも2000年(平成12年)代より増加を続け、平成18年前後にピークを迎え、その後減少しています。これは、2000年代の企業誘致は、2つの段階を経ているからだと思います。

 まず2000年代初めに、低迷する地域経済を背景に、各自治体では企業誘致を活発化させました。そして2000年代中頃には、日本経済の景気も良く、国内投資も活発化しました。このようなもと、各自治体も誘致補助金の増額合戦を行い、平成17・18年ごろに、工場立地は最高の件数を計上することになります。
 しかし、2008年(平成20年)のリーマンショックにより、日本経済は大きな打撃をうけ、工場立地は低迷、現在に至っています。

 また、同時に起こっているのが、誘致企業の生産減少や撤退などです。特に最近までは、日本は円高基調にあったため、海外への生産拠点の移転が加速していました。その結果、誘致企業は、その地域にはそもそも縁もゆかりもないため、工場の集約化や撤退が起こっています。


見直しが迫られる企業誘致

 現在、アベノミクスもあり、日本は円安基調に動いています。今まさに、企業誘致・工場誘致にとっては、大きなチャンスが到来していると言えます。しかし、これまでと同じような企業誘致を行っていては、ダメなのだろうとも思います。

 1つ目は、補助金などの見直しです。現在でも、補助金、減税、融資(利子補給)など様々なことを行っていますが、それらが誘致企業にとって適切なのか、また企業がその地域に根付くためのものになっているかなどを検討し直すことです。

 例えば、誘致企業をその地域に根付かせるためには、補助金を長年にわたって支出するようにしたり、長期間の減税などを実施することです。

 2つ目は、誘致する自治体の体制です。企業誘致をしているとはいえ、積極的に営業を行っているところは少ないと思います。企業誘致で有名な北上などは、職員が企業に出向き、営業を行っています。また、誘致企業へのきめ細やかな対応なども重要でしょう。

 3つ目は、あまりやっているところはないと思いますが、誘致担当部署は、地域内の企業の情報も積極的に把握すべきです。
 需要(仕事)があれば、その地域に企業は来ます。一般消費者向けならば、その地域の人口が大きな要素になるでしょうが、法人向けのものをつくっているのであれば、その地域の産業特性が活かせます。特に、地域内の企業が地域外から移入しているようなものがあれば、そのようなものを作っている企業を誘致することです。
 勿論、民間企業なので、経済合理性で動いていますが、自治体の後押しや地域内の1社のみならず複数の企業の状況を把握することで、企業誘致の蓋然性は高くなると思います。

 以上はあくまでもアイデアベースのものだが、改めて企業誘致については、見直しを行っていくことが重要だと思います。

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