鳥取県のニュースで、岡山県の会社が工場跡地に進出するというものがあった。
別にこのニュース自体は特別なものではない。今年9月に閉鎖した工場への企業誘致に成功したというだけだろう。
しかし思うに、このニュースを見て、改めて思うのが、企業誘致にも流行り廃りというものがあるのかもしれないということだ。
企業誘致と言えば、大企業の工場などを誘致することを想起するかもしれないが、必ずしもそうではない。
確かに、高度成長の時代より、地方の安い賃金や、安くて広い土地を武器に、工場誘致が積極的に行われた。他方、工業団地の整備なども進められ、工場の企業誘致が盛んに行われた。
しかし、2000年代中頃には、変わった例として見られたのが、コールセンターなどの誘致である。IT化や通信インフラ等の発達から、必ずしもコールセンターなどを首都圏などに置いておく必要がなくなった。そこで、賃金や賃料などが安い地方にコールセンターが置かれるようになった。地方としても、工場のように大規模な設備などはなく、固定資産税としてはあまり期待できないが、雇用効果があるため、積極的にコールセンターなどの誘致も進められた。
また、工場のような従来型のモノづくり産業ではなく、新しい産業として、ITやコンテンツなどの産業に関して、企業誘致がすすめられたのも、この頃かもしれない。
ただ、「見直しが迫られる企業誘致」でも書いたが、企業の海外進出やその後のリーマンショックなどで、企業誘致は厳しい時代を迎えることになる。そしてむしろ、企業誘致も大事だが、企業がいなくなり、空いた工場をどうするかが、ここ数年のポイントでもあるだろう。
たぶんどこの自治体でも、企業誘致を行っている部署は、空き工場のリストをもっている。そして、時にはそのリストを使って、営業(企業誘致)を行っているはずだ。例えば、鹿児島県では「空き工場等案内」で、ウェブ上でも空き工場について情報提供を行っている。
まさしくここ数年来の緩やかな企業誘致の流行りは、空き工場をどうするかということなのかもしれない。
私自身は、あまり企業誘致というものは好きではない。
理由としては、昔はいざ知らず、現在では企業を誘致しても、地域内の企業とは無関係なことが多く、地域としては波及効果が少ないためだ。また、補助金など経済的な理由で進出した企業は、経済合理性がなくなれば、当然、その地域からは撤退してしまう。
現在いる企業に対しては、補助金などの支援がなく、新たにその地域に進出すれば、支援が受けられるというのも、変な話であるというのも、理由の一つだ。地方自治体の産業関連の職員であれば、このような不公平感を地域の企業から言われたことがある人もいるはずだ。
とはいえ、雇用を生んでくれる企業誘致は、地方の自治体にとっては魅力的である。
言いにくいことだが、エネルギーなどの点で、チャンスを有している自治体もある。
企業誘致と言えば、営業色が強い業務である。是非とも、企業誘致に携わる方々は頑張ってほしいと思う。
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