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世界自然遺産は、効果が限定的なのではないか。

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 以前、「世界遺産登録、どれだけの効果があるのか?」で、石見銀山を例に、世界遺産の効果について述べた。

 しかし、世界遺産といっても、自然遺産については、観光振興が難しいのではないかと思う。
 というのは、屋久島について、次のようなニュースを見つけたからだ。

外部リンク2013/10/21 西日本新聞「屋久島「観光」か「保護」か 世界自然遺産登録20年 入島制限踏み切れず [鹿児島県]」


 ニュースの内容は、自然保護などの観点から入島制限などを行おうとしているが、観光業界の反対で、それができていないといったものだ。

 「世界遺産登録、どれだけの効果があるのか?」で、「履歴効果」といったものを話したが、屋久島もこの例にもれず、世界遺産登録がなされ、観光客はピーク時には40万人にまで増えた。しかしその後減少し、現在は30万人となっている。
 ただでさえ、観光が減少している中、観光業界からすると、入島制限などは当然反対となるだろう。

 このように、自然遺産といったものと観光振興といったものには、ある種のジレンマがつきまとう。
 観光という点では人が多く来てほしいが、自然保護という点では人が多く来ると、環境破壊などに繋がってしまうからだ。

 ただ私が思うのは、それ以上に、自然遺産というものの難しさを感じている。

 なぜなら、世界遺産登録後、観光客数ができる限り、高止まりするにはリピーターの存在が重要だからである。
 そして、リピーターを呼び込むには、人為的な新たな取り組みが必要となる。新しい施設・設備であったり、新たなイベントなどだ。
 勿論、何も変わらなくても、その土地が好きで何度も来る人もいるが、多くは新たなもの・発見を見つけたくて、その土地に観光に来る。

 しかし、自然遺産といったものは、そのような新しいことを行うと、環境破壊などにもつながりやすく、行いにくい。
 また元々、自然を見に来た人たちなので、とってつけたような人為的な取り組みを見たいという人たちとは、顧客層が異なっている。

 以上から、自然遺産は、自然保護と観光振興との間にあるジレンマはもとより、リピーター対策を打ちにくいという点もある。
 自然遺産を通じた観光振興の効果については、ある種の上限を見据えて、考えたほうがいい。

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