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歴史遺産ではないが、ちょっと古い「物」をどうするか?

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 高知県の貸本屋が廃業に伴い、1950年代以降に発刊された貸本の漫画を誰かに譲りたいと言っているようだ。
 本自体は貸本であり商品性がなく、とはいえ捨てるのはもったいないということで、このような申し出をしているという。

外部リンク2013/09/08 高知新聞「眠る漫画3万冊「譲ります」 四万十町の旧貸本屋」


 思えば、これは非常に重要な話ではないかと思っている。

 日本は第2次世界大戦で敗北し、空襲などで多くのものが失われた。それから68年。日本は経済成長を遂げ、国民は豊かになり、多くの「物」が蓄積されてきた。戦後の「物」と考えると、あまり古くは感じない部分もあるが、すでに半世紀以上前の「物」なのである。貸本ということで商品性はないものの、十分な歴史的な遺産ともいえる。そしてこれは、どんどんと歴史性を帯びていき、現在は価値がなくとも、今後は価値が生じる可能性がある。また、全国的に価値がなくとも、高知ならば高知でそのような「物」があるというのは重要だと思う。

 そして何より、このような物はこれからどんどんと出てくるだろうということだ。今回は貸本屋の例だが、戦後の豊かな経済のもとで、様々な「物」について、コレクターも多くいるだろう。戦後から68年で、そのような人たちも高齢となり、多くの人が亡くなっていく。そのとき、このような「物」をどうするのかが重要となる。

 商品として売れればいいが、商品価値がない場合も多い。そうなると、遺族などは廃棄するしかないことも多いだろう。しかしそれらの「物」が必ずしも、歴史的な価値がないかと言えばそういう訳でないだろう。また、将来を見据えた場合、歴史的な価値を帯びることも考えられる。

 例えば、ラジカセなどはせいぜい30・40年前の「物」である。しかし現在は、多くの家庭で残ってはいない。製造メーカーでも残しているかも怪しいものだ。
 他方、コレクターでなくとも、物持ちの良いお年寄りならば、家に残しているかもしれない。しかし、売ろうと思っても商品価値がなく、売れるものではないだろう。折角の歴史的な遺産・物であるにもかかわらず、廃棄されてしまう可能性が高い。

 今回の貸本屋の例でもそうだが、結局は、このような少し古い物に対して、それらを受け入れる仕組みがない、もしくはしっかりと整っていないというのが、問題なのだろう。そして、少し古いということで、ある種のエアポケットにもなっているのだろう。
 ただこのままでは、折角の貴重な「物」が失われるだろうし、今後、このようなことが増えていくことが予想される。

 私は、現在のみならず、将来を見据えて、このような「物」を何らかの形でストックしていくことは重要だと思っている。

 そしてそれは、国とまでは言わないが、地域にとって、将来重要な財産になるのではないかと思う。

 また、この記事の本旨とは外れるが、現在の地域活性化ということを考えても、今後も高齢者が増えていく中で、「懐かしさ」という観点から、意外とこのようなちょっと古い物に対する博覧ニーズなどもあるのではないかと考えている。

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