概要
ガソリンスタンドの廃業が続いている。
その要因として、需要減少と法改正にあると言われている。
そこで今回、実際にどうなのかを調べてみた。
法改正
2011年に消防法が改正された。
改正内容としては、2013年2月までに、給油所のガソリンタンクで40年以上経過したものの改修・交換を義務づけるというものだ。これにより、廃業が増えるだろうと言われ、2013年問題とも言われてきた。
右の上グラフは、ガソリンスタンド数の推移である。一目瞭然だが、綺麗な右肩下がりとなっている。1994年と2012年を比較すると、半分近くの数となっている。この点から、確かにガソリンスタンドの廃業が続いていることが分かる。
次に、その増加率を見たのが、下のグラフである。2000年代中頃までは、▲2~▲3%で減少していたが、2000年代中頃から減少が大きくなり、▲3~▲4%で推移している。この点から分かるのが、法改正によりガソリンスタンドが減少したというよりは、恒常的な問題であるということだ。
ただ、2011年2月に改正消防法は施行され、2013年2月までに、改修・交換が必要であるため、2011年度・2012年度の増加率がポイントになる。これを見ると、やはり法改正の影響によるものなのか、2012年度には減少は大きくなっている。
つまり、法改正の影響により、ガソリンスタンドの減少は大きくなったが、同時に恒常的にガソリンスタンドが減少しているということが分かる。
需要動向
恒常的にガソリンスタンドが減少しているということは、市場規模が縮小している可能性がある。
特に、人口減少やエコカーの増加などで、大きく需要が減少し、ガソリンスタンドも減っているということが考えられる。
右上のグラフは、自動車の保有台数である。
確かに近年、台数の伸びは鈍化しているが、減少しているわけではない。むしろ、上記のガソリンスタンド数が減少しているのに比べて、増加傾向にあるともいえる。
次に、右下のグラフは、燃料油の国内向販売量の推移である(小さくて見にくいが、クリックして拡大してほしい)。
ガソリンスタンドで主として販売されているものとして、ガソリン・軽油・灯油に注目すると、さすがに軽油や灯油は減少しているようだが、ガソリン自体の販売量はあまり変わっていない。どちらかといえば、ガソリンは増加傾向にあるともいえる。
つまり、確かに軽油・灯油の減少を考えると、市場規模としては減少傾向にあるともいえるが、ガソリンスタンドが半減するようなインパクトはないだろう。むしろ、これらの数値を考えるならば、1件当たりのガソリンスタンドの販売量は増加しているともいえるだろう。
結論
販売量はあまり変わっていないのに、ガソリンスタンドが減っているということは、ガソリンスタンド自体が過剰だったという可能性がある。1990年代は、過剰に作られたガソリンスタンドが過当競争に陥り減少し、2000年代からは自動車保有台数増加の鈍化、販売量の減少などで、ガソリンスタンドは減少していったのだろう。
そして、自動車保有台数や燃料販売量の増加は今後もあまり見込まれないことから、ガソリンスタンドは減少するだろう。
このとき問題になるのが、地方である。
地方ほど、車の依存度が高く、ガソリンスタンドの存在は非常に重要だ。また、寒い地域などは、石油ファンヒーターを利用していることも多く、灯油の販売先という点でも、スタンドは貴重である。
確かに全国的にガソリンスタンドは減っているが、右の表を見てほしい。1994年から2012年にかけてのガソリンスタンドの減少率について、上位5位を掲載したものである。
このように、人口の多い都道府県のほうが、ガソリンスタンドは大きく減少している。そしてこの点から、バブル期など都会ほどガソリンスタンドが多く作られたが過剰となり、減少率も大きくなったという可能性がある。
とはいえ、地方におけるガソリンスタンドの減少は、生活にも大きく関わる。特に、257市町村で給油所が3カ所以下という話もある。
ガソリンスタンドの減少は、ある意味に時代の流れであり、仕方がない面が多い。ただ、地方ほどガソリンスタンドは重要であることから、過疎地などのガソリンスタンドの減少は注意しなければならない。
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