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タクシー台数削減、国によるカルテルといわざるを得ない。

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 小泉政権下でのタクシーに対する規制緩和が行われ、タクシー数の増加など過当競争が問題となっていた。
 2009年には、行き過ぎた規制緩和だったとし台数削減が行われたが、自民党ではまだまだ見直しが必要だとし、更なる台数削減が検討されているようだ。


 台数削減が行われれば、当然ながら利用者の利便性は少なくなり、既存事業者の保護につながる。
 特に、一斉に台数削減を行うことになれば、既存の業界順位・構造はそのままとなってしまう。つまり、現在のタクシー台数が基準となるので、一層、既存事業者保護の色彩が強くなるのである。

 企業者間で生産数量を調整し利益を上げることを数量カルテルというが、タクシー業界においてはタクシーそのものが商品・サービスである以上、今回のことは、まさしく国が主導するカルテルのようなものである。

 そもそもの問題は、過当競争でタクシー1台当たりの売上が減少し、運転手の賃金が減少したことにある。またそれに伴い、過剰労働なども問題となった。
 しかし今回のように台数制限をして、タクシー1台当たりの売上が上昇しても、運転手の賃金アップなどがなされる保証はない。

 上記のような運転手の問題を考えると、タクシー台数を制限するのではなく、むしろ例えば運転手の賃金を規制したほうがいい。すなわち運転手の固定給について、ある程度の賃金支払い義務を課し、規制をすることだ。

 運転手の固定給が増えれば、事業者としては安易にタクシーの増加はできない。タクシー台数が増えれば、運転手という固定費が増加するためである。ただ同時に、儲かっているタクシー業者はこの固定費を支払うことができるので、どんどんタクシーを増やすこともできる。

 ただタクシー事業経営者からするとやりにくい制度であり、なかなか採られにくい仕組みでもある。しかし本当にタクシー運転手のことを考えるならば、台数制限よりもこのような形のほうが望ましいだろう。

 そもそも、アベノミクスの第3の矢は、規制緩和だと言われているが、今回のことはまさしく逆の動きである。政治的には議員立法で提出し、安倍政権・アベノミクスとは一線を画した形にしているが、自民党の総裁は安倍首相である以上、このようなテクニカルな方法は全く意味がなく、安倍首相にもこの責任はあると言わざるを得ない。

 秋の国会に法案を提出するそうだが、国が主導するカルテルといったようなことはやめたほうがいいと思う。

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