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ビジネスモデルが変わった地方鉄道

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ビジネスモデルが変わった?

 今さら言うことではないが、地方鉄道の経営が厳しい。
 廃止になった地方鉄道も多くあるが、現在、残っているところも多くが赤字である。

 理由は単純で、旅客数の減少にある。
 例えば、公設民営の分離方式で鉄道事業を行っている若桜鉄道も、当初は黒字だったが、2012年度には赤字となっている。

 記事によると、決算としては次のとおりで、本業である営業収支が大きな赤字となっている。それを、SL運転体験やトロッコ列車の構内運行などの事業の収益で埋めているが、それでも足りず、会社として470万円の赤字となった。 そして今後の経営について、運輸収入以外の部分で収入を上げ、黒字化を目指すとしているようだ。

  営業収支  ▲1,470万円
  営業外収支  1,000万円
  収支     ▲470万円

 思えば、ここに、地方鉄道のビジネスモデルが大きく変わっていることに気付く。
 通常、鉄道事業の収益源は、旅客数である。しかし、この例のように、本業である地方鉄道を維持・継続するために、副業で儲けなければならないという仕組みになっている。

 勿論、副業とはいえ、SL運転体験やトロッコ列車の構内運行など、本業の鉄道があるからこそ成立する事業である。ただ、このような本業と副業の逆転状態は、今後も継続するだろうし、むしろこの状態はどんどんと強まっていくだろう。

 観光などで本業である旅客数を伸ばそうとしている地方鉄道もあるが、このような形の地方鉄道は今後、増えていくだろう。


非営利的な仕組みが必要かもしれない

 このような仕組みを見たとき、似たような制度がある。
 それは、NPO、宗教法人などの非営利法人の仕組みである。実態は別として、これらの法人は本業ではなかなか儲けることができない。そこで、非営利事業だけでなく、営利事業も認められており、営利事業で儲かった分を非営利事業に使うことができる。

 非営利法人の仕組みから、地方鉄道事業を考えたとき、具体的な方法はいろいろあるが、地方鉄道にもある種の非営利性を導入した制度が必要なのかもしれない。

 若桜鉄道自体は、公設民営の分離方式ですでに特別な仕組みと言えるが、他の地方鉄道の厳しい状況も考えると、地方鉄道の非営利性、公共性をもっと考える必要があると思う。


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