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あえてサービス産業を支援する

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サービス産業支援はやりにくい

 中小企業支援として、小売業や飲食店などサービス産業はやりにくいものだ。
 理由としては、5つある。

 1つ目は、補助金などは、財政的な限度があるため、行政サイドとしては、補助金を支給する事業者を選定しなければならない。しかし、小売業や飲食店などは、技術的に差があるわけでもなく、味などは主観によるところが多いため、選定が難しい。また、特別なビジネスモデルをもったところを選ぶということも考えられるが、そう多くあるものではない。

 2つ目は、飲食店や小売店に補助金などを出したとしても、単なる運転資金に消えてしまったりする。言い換えると、行政としては事業者への補助金は、将来の売上アップなどにつながるような形で利用してほしいが、運転資金などに使われると単なる事業の補助であり、未来志向的な意味はなくなってしまう。また、運転資金に使われればまだよいが、商品・サービスの割引補助に利用されると、ライバル企業からは当然、問題視されるだろう。

 3つ目は、このように補助金では行いにくいため、比較的安価で無差別に資金を供給できる制度融資が行われる。これは、簡単に言うと、銀行が融資をした場合に、その利子を割り引くというものである(利子補給という)。

 4つ目は、飲食店や小売店の個別店を支援しても、地域内で需要が一定である以上、ゼロサムゲームであるため、地域内の他の個別店の売上減少を招く。売上減少が明白でなくても、ライバル企業からは問題視されるだろう。

 5つ目は、支援を行い、サービス産業が伸び県外進出などをしても、県外の雇用や活性化につながるだけで、県内はあまり影響がないという事情もある。

 このような結果、あまりサービス産業支援は行われず、せいぜい上記のような制度融資であったり、セミナーなどが行われる程度である。


それでもサービス産業支援を行う

 それでも私は、小売店や飲食店などのサービス産業を支援すべきだと思う。特に、飲食店などは重要だ。ただし、ここでもう一つの新たな支援を考えなければならない。

 中小企業支援といった場合、事業者の成長ステージで施策を考えることがある。分かりやすい例は、ベンチャー支援であったり、事業再生支援といったものだ。ただこれまであまり、成長中の企業には支援は行われてこなかった。理由は単純で支援をする要素は少ないからである。ただ、サービス産業支援においては、この成長中の企業、特に県外に進出しようとしている企業について行ったほうが良い。
 このような企業は、県内では知られていても県外では知られていない。そこで、行政による信用付与や行政を上げたPRを行うことで、企業単独ではできないオプションをもつことができる。また、成長している企業は増加運転資金(企業は成長期に資金が必要になる)がかかるので、資金的にも需要がある。その点で、企業にとってはメリットはあると思われる。

 行政サイドとしても、これらの企業が県外に進出しても、個別店舗として進出するため、その管理費用がかかり、本社機能を大きくしなければならない。その結果、税収増や雇用増加が期待できる(なお、県外進出が大きくなると、その地域に事業所や地域本部などができるため、税収増や雇用増加効果は止まる)。また特に飲食店の場合には、フランチャイズ化すると、基本的な材料は加工して各店舗に送ることになるため、その加工施設・加工工場が必要となる。それを県内に作るような支援を行えば、地域経済にとっても非常にプラスである。そして、このような食品の加工施設・加工工場の移転は起きにくいため、県外に多くの店舗を出店するようになっても、この加工施設で地域は県内経済は活性化する。このように、加工施設のような前方連関効果を考慮に入れると、十分にサービス産業支援は地域経済にとって重要である。

 これらのことを考えると、私はサービス産業支援をもっと行っていいと思っている。

 スーパーマーケットの目玉商品割引サービスは、目玉商品でお客を呼び込み、序でに他の商品を買わせ儲けるという仕組みである。地方自治体においても、地域が儲ける・地域が活性化するポイントを変えて、施策を検討すべきである。


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