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中小企業基本法

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 中小企業対策の憲法ともいうべき中小企業基本法について、解説してます。

概要

 中小企業基本法とは、国が中小企業政策を行うに当たって、その理念や方向性を定めた法律です。

法令データ提供システム「中小企業基本法

 あくまでも基本法であるので、特別な効力や規制などがあるわけではありませんが、この法律により、中小企業の定義や中小企業政策審議会の設置などが定められています。

理念

 中小企業基本法は、昭和38年に制定された法律ですが、かつては大企業との格差是正に焦点があてられていました。
 しかし、平成11年に、大きく改正され、独立した中小企業の多様で活力ある成長発展へと、その政策の大きな転換が図られています。

 現在、基本理念としては、次のように定められています(3条1項)。

中小企業については、多様な事業の分野において特色ある事業活動を行い、多様な就業の機会を提供し、個人がその能力を発揮しつつ事業を行う機会を提供することにより我が国の経済の基盤を形成しているものであり、特に、多数の中小企業者が創意工夫を生かして経営の向上を図るための事業活動を行うことを通じて、新たな産業を創出し、就業の機会を増大させ、場における競争を促進し、地域における経済の活性化を促進する等我が国経済の活力の維持及び強化に果たすべき重要な使命を有するものであることにかんがみ、独立した中小企業者の自主的な努力が助長されることを旨とし、その経営の革新及び創業が促進され、その経営基盤が強化され、並びに経済的社会的環境の変化への適応が円滑化されることにより、その多様で活力ある成長発展が図られなければならない。

中小企業等の定義

 この法律により、中小企業と小規模企業の定義が行われており、次のようになっています。

中小企業

業種 資本金の額又は出資の総額 常時使用する従業員の数
製造業、建設業、運輸業その他の業種 3億円以下 300人以下
卸売業 1億円以下 100人以下
サービス業 5000万円以下 100人以下
小売業 5000万円以下 50人以下

小規模企業

業種 おおむね常時使用する従業員の数
商業又はサービス業 5人以下
その他 20人以下

留意点

 上記のように中小企業や小規模企業は定義づけられていますが、個別法において、特例が設けられ、業種によって、中小企業の定義・範囲が異なることがあります。

 また、上記で述べたように、平成11年に、この法律は大きく改正されましたが、その際に、例えば、製造業における資本金の基準が1億円から3億円へと変更されたように、中小企業の定義・範囲の拡大が図られています。

基本的政策

 政策の方向性としては、次のような柱となっている(12条~26条)。

①中小企業の経営の革新及び創業の促進
 ・経営の革新の促進
 ・創業の促進
 ・創造的な事業活動の促進
②中小企業の経営基盤の強化
 ・経営資源の確保
 ・海外における事業展開の促進
 ・情報通信技術の活用の推進
 ・交流又は連携及び共同化の推進
 ・産業の集積の活性化
 ・商業の集積の活性化
 ・労働に関する施策
 ・取引の適正化
 ・国等からの受注機会の増大
③経済的社会的環境の変化への適応の円滑化
④資金の供給の円滑化及び自己資本の充実
 ・資金の供給の円滑化
 ・自己資本の充実

その他

 これまでは、国では中小企業を中心として政策を転換していたが、2013年より、より小規模企業をクローズアップした政策へと舵を切っています。
 そこで、この法律の基本理念に則りながら、小規模企業対策として、2014年に「小規模企業振興基本法」が制定されています。

参考

e-Gov「中小企業基本法

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