日本経済の衰退開始
今さら言うことではありませんが、バブル経済崩壊後、日本経済は衰退しています。特に、リーマンショックや東日本大震災後の日本経済の落ち込みは著しいと思います。
その結果、数年前には「失われた10年」といわれ、現在では「失われた20年」と呼ばれています。
そこで問題となるのは、いつから日本経済の落ち込みが始まったかを、改めて検討することです。
下の図を見ていただきたいと思います。

日本のGDPは、名目では1997年度、実質では2007年度にピークを迎えます。言い換えると、実質では2008年度、名目では1998年度から、日本経済は落ち込んだということになります。
このようなとき、物価上昇が著しいときは実質で、デフレのときは名目でGDPを判断したほうがよいです。デフレ経済が続いていることを考えると、日本経済の力は名目で判断すべきです。
名目GDPで見ると、日本経済は、バブル崩壊後も成長を続け、1997年度で過去最大のGDPを計上し、2000年代中ごろにはやや持ち直し、2011年度は約470兆円まで落ち込んでいます。すなわち、日本経済の落ち込みが始まったのは、1998年度からと考えたほうがよいということになります。
落ち込み幅
次にその落ち込み幅を考えたいと思います。
名目GDPについて、ピークだった1997年度は約521兆円、直近の2011年度は約473兆円です。つまり、1997年度と比べると、約48兆円ものGDPが減少してしまったことが分かります。言い換えると、14年の間に、10%近くのGDP減少を日本は味わったわけです。これでは景気が良いはずがありません。
このとき、減少内訳を見たのが、下の表です。

これを見ると、最も大きいのが民間投資の減少額23兆円、次に純輸出の13兆円となっています。
このことから、日本経済の落ち込みの大きな要因が、民間投資にあることが分かります。
また、純輸出の落ち込みも大きいのですが、合わせて掲載した2000年代で最もGDPが高かった2007年度についても見ると、純輸出はむしろプラスです。実際、2011年度は東日本大震災による輸出の落ち込みやエネルギーコストの増加で大きくなったためです。そして、2007年度でもやはり民間投資は、1997年度に比べ約8兆円減少しています。
投資が重要
実際、2000年代中ごろに盛り返すものの、1990年代から現在まで民間投資は減少傾向にあります。

以上のことから、日本経済の落ち込みの原因は投資の減少にあり、民間投資が過去の水準に復活すれば、日本経済も過去の水準に戻るでしょう。
そして、いかに民間投資を呼び戻すのか、それが大きな課題です。
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