軽減税率はやめたほうがいい
2017年の消費税増税に向けて、軽減税率の導入が検討されているようだ。
ただ私自身は、軽減税率の導入は反対だ。
単純に言えば、どの財・サービスに関して、軽減税率が導入されるか、区分けが難しいからである。
例えば、食品といっても、スーパーなどで販売されているようなものから、飲食店で提供されているものまで幅が広い。また、旅館などのように、宿泊と飲食が一緒にサービス提供されているような分野もある。区分けが難しく、そうなると、細かなルールが必要になったり、企業の事務量も増えるだろう。
このようなものは、できるだけ単純なルールが望ましい。
また、軽減税率に反対している人の中には、利権の温床になる、必ずしも低所得者対策にならないなどといった意見もある。概ね、その通りだと思う。
しかし、どうせ軽減税率を導入するならば、食料品などへの軽減税率とは違った方法を考えてみた。
産業的な視点
軽減税率の根底にあるのは、消費者対策である。
しかし、産業的な視点で軽減税率というものも考えていいと思っている。
例えば、ロボットなど、新たな技術に関して、軽減税率を実施するというものである。先進技術とその普及の間には、ある種の溝がある。「デスバレー」「ダーウィンの海」といった言葉もあるが、いずれにせよ、先進技術を伴った製品は、量産化もできず、比較的高価格である。そのようなものについて、軽減税率を導入し、その普及を早めることが考えられる。
また、先進技術だけではなく、農業などでも考えられよう。
農業において、重要なのは大規模化だ。しかし、大規模化を図るには、多くの農産品を買ってくれる事業者などが必要であるが、どうしても大規模化が行われる前は、生産規模が小さいため、価格競争力がない。その結果、大規模化を図りにくい面がある。
そこで、一定期間を設けて、大規模化を目指そうとしている生産者や集落営農などに対して、軽減税率を行うことも考えられる。
地域的な視点
産業的な視点以外では、地域で軽減税率を導入することも考えられよう。
例えば、過疎地域などにのみ、特区的に軽減税率を導入するというものである。
そうすると、その地域にとっては、価格競争力上、(優位とまではいかなくても)プラスの働きがあるだろうし、その地域への小売店出店などの呼び水にもなる。
当然ながら、その地域は、地方消費税の税収が減ることになるが、交付税措置などを行えばいいだろう。
このような仕組み自体は、固定資産税において、不均一課税ということで、すでに導入されている仕組みでもあり、取り組みやすい。また、品目などで区分けするよりも、やりやすいはずである。
まとめ
冒頭で書いたように、私自身は、軽減税率は反対である。
しかし、どうせ導入するならば、違う視点で考えてもいいと思う。
たぶんこのままだと、食料品プラスアルファで落ち着くことになるだろうが、少なくとも、上記の地域的な視点で述べたようなことは考えてほしいと思う。
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